消防士の平均年収はいくら?【年齢別・階級別など詳しい年収情報も紹介】

消防士は、災害時の消火活動や人命救助を行う仕事で、危険が伴うぶん年収が高いイメージもある職業です。

仕事のやりがいや給料の高さにあこがれ、消防士への転職を目指している人もいるでしょう。

しかし、消防士の年収情報などは一般的にあまり知られておらず「そもそも消防士の年収っていくらもらえるの?」と疑問を抱えている人も多いはず。

そこで今回は、消防士の平均年収・年齢別年収、さらに消防士が年収をあげる方法なども解説します。

消防士への転職を考えている人は、ぜひ本記事を転職活動にお役立てください。

年収診断
年収を知る前にまずは自分の適正年収を診断してみましょう。
ミイダスでは、必要項目を入力するだけで自分の適正年収を知ることができます。

消防士の平均年収は682万円

総務省が発表している地方公務員給与実態調査を参考にすると、消防士の平均年収は682万円でした。

日本人男性の平均年収が540万円なので、消防士の平均年収はかなり高い水準だといえます。

そのほか、消防士の年齢別や階級別の年収はどうなっているのか、詳しく見ていきましょう。

消防士の年齢別年収

消防士の平均年収と、国税庁が発表している年齢階級別の平均年収をもとに、独自の計算で消防士の年齢別年収を推定したものがこちらです。

年齢 年収
20~24歳 456万円
25~29歳 641万円
30~34歳 709万円
35~39歳 770万円
40~44歳 825万円
45~49歳 866万円
50~54歳 913万円
55~59歳 900万円
60~64歳 716万円

20代前半の消防士の推定年収は400万円代と低めですが、20代後半に差し掛かると年収は徐々に上昇。

そして年収がもっとも高い50代前半では、年収913万円と推測できました。

ただし、消防士の給料は所属する自治体や市町村の条例などによっても差があります。

配属された場所や条件によっては、上記の年収よりも低い年収になる可能性もあるでしょう。

消防士の階級別年収

消防士として働く場合、消防士や消防副士長などをはじめ、主に10段階の階級に分かれています。

階級ごとの推定年収はこちらです。

階級 年収(推定)
消防士 400万円
消防副士長 400万円
消防士長 400~500万円
消防司令補 500万円
消防司令 500万円
消防司令長 500~600万円
消防監 600万円
消防正監 700万円
消防司監 800~900万円
消防総監 1,000万円以上

自治体や消防士や消防副士長の推定年収は、およそ400万円ほど。

消防士長になってくると年収500万円を超えるケースがあり、東京消防庁にある階級の中でも最上位の消防総監になると、1,000万円以上の年収をもらえる場合もあります。

ただし、上記で紹介したのは東京消防庁の階級を参考にした推定値であり、自治体によっては5段階・6段階など、もっと少ない階級制度の場合も。

また、政令指定都市で働くのか、それとも政令指定都市以外の市町村で働くのかなどによっても、年収に差があります。

消防士の年収はポジションによって違う?

次に、消防士のポジション別年収について解説します。

消防士の給料には公安職俸給表(一)という給料制度が適用されるため、基本的にポジションによる年収の違いはありません。

そのため、本的にはどのポジションに就いても、消防士の平均年収である682万円が基準だと考えていいでしょう。

ただし、消防士になるために受ける公務員採用試験は難易度によって区分が分かれており、どの区分で採用されるかによって給料に差が出ます。

消防士の主な区分の種類は、以下の4種類です。

  • 専門職:大学卒で専門的な科目を履修したものが対象
  • Ⅰ類:大学卒程度のレベル(上級)
  • Ⅱ類:短大卒程度のレベル(中級)
  • Ⅲ類;高卒程度のレベル(初級)

東京消防庁の令和2年度における消防士の募集要項を参考にすると、区分ごとの初任給の違いはこちら。

区分 給与(採用時)
専門職 約26万1,400円
Ⅰ類 約25万3,300円
Ⅱ類 約23万2,900円
Ⅲ類 約21万4,000円

上記の給与のほか、期末、勤勉手当・扶養手当・住居手当・通勤手当などがあり、さらにボーナスを加えた額が最終的な年収です。

なお、ここで紹介したのは東京消防庁の給与例であり、自治体ごとの初任給や地域手当などによっても年収は異なります。

ちなみに、消防士として働く場合の主なポジションは以下の通りです。

  • 消防隊員
  • はしご隊員
  • 救助隊員(レスキュー隊員)
  • 救急隊員
  • 機関員
  • 指揮隊
  • 火災原因調査員
  • 予防課員
  • 航空隊員・航空救助員
  • 指令係員

どのポジションで働くかによって、具体的な仕事内容や勤務日数などは違います。

自分の適性や得意な分野などをよく考慮し、どのポジションに就きたいかを決めてから転職するといいでしょう。

消防士の月収・ボーナス

平均年収から推定できる消防士の月収とボーナスはこちらです。

  • 月収:約40万円
  • ボーナス:約180万円

総務省の地方公務員給与実態調査で発表されている消防士の平均的な月額給与は、約40万円でした。

そして、年度によって多少の差異はありますが、地方公務員の1年間のボーナスがおよそ4~4.5か月分なので、ボーナスは約180万円と推定できます。

しかし、上記は消防士の平均年収から推測できる金額です。

自治体が定める条例や区分、さらに年齢などによって、月収やボーナスが異なる場合もあります。

消防士の給料が高い理由

消防士の平均年収はおよそ682万円で、日本人男性の平均年収である540万円を100万円以上も上回る高い年収水準です。

ではなぜ消防士の給料は高いのか、その理由を解説します。

危険性を伴う仕事だから

消防士の給料が高い理由としてまず挙げられるのは、危険性を伴う仕事だということ。

消防士は火災や災害などが起きたとき、消火活動や人命救助などを行います。

もちろん火災現場や災害現場は、避難者や要救助者だけでなく、その人たちを救助する消防士自体も危険がつきものです。

下手をすれば、救助している消防士も命を落とすような危険な現場に遭遇する可能性もゼロではありません。

そういった危険性の高さから、消防士は一般的な公務員職よりも年収が高い傾向にあります。

各種手当や勤務体系が特殊

各種手当や勤務体系が特殊なのも、消防士の給料が高い要因の1つです。

消防士は一般職な全公務員に支給される手当のほか、給料の中に下記のような特殊手当が含まれています。

  • 危険作業手当
  • 不快作業手当
  • 重勤務作業手当
  • 非常災害業務手当
  • 消防業務手当

これらは消防士ならではの手当のようなもので、会社員などの特殊な環境で働いていない仕事には、基本的に支給されません。

また、消防士の場合は24時間勤務や非番勤務などを繰り返す特殊な仕事であることから、一般的な公務員とは異なる公安職俸給表(一)という給料体系が適用されています。

この給料体系自体が民間企業の月額給与よりも高く設定されており、通常の公務員に比べても、10%以上高い水準です。

このように、民間企業や一般公務員ではもらえない手当の支給や、特殊な給料体系の適用などが、消防士の給料を高くしている要因となっています。

消防士のキャリアパス

ここからは、消防士のキャリアパスについて解説します。

消防士としてキャリアアップしたいなら、一般的な会社員とはキャリア形成の方法が少し異なるので、どんなキャリアパスの道があるのかもチェックしてみてください。

各分野でのキャリアアップを目指す

消防士として働く場合、入庁後の1~2程度は決まったルートで働きます。

まずは消防学校に入学し、そこで消防士の仕事の基礎やスキルなどを習得。

そのあと各消防署に配属され、それぞれのポジションに就きます。

消防士には消防隊員・救急隊員・火災調査隊員などいろんな分野があり、キャリアップしたいなら各分野での技術習得・スキルアップを目指すことが必要です。

現場で経験を積んでいると、自分の得意な分野や適性などがおのずとわかってきます。

消防士は救急救命士をはじめ、機関系や放射能関係など、各分野の資格を習得できる研修が充実しているのも特徴です。

自分の適性や得意分野が把握できれば、そこから各分野で必要なスキルや資格を習得することで、キャリアアップに繋がるでしょう。

昇格を目指す

昇格を目指すのも、消防士のキャリアパスの1つです。

消防士には階級制度があり、どの階級になるかによって給料や待遇にも差があります。

階級は年齢・勤務年数・勤務成績などによって決められ、消防士は一番下の階級です。

キャリアアップを目指すなら、まずは消防士の1つうえの階級である消防副士長を目指しましょう。

消防副士長になったら、次は消防士長、その次は消防司令補といったように、昇給を目指せば必然的にキャリアが上がります。

昇級するには試験なども必要で、すべての消防士が昇給できるわけではありませんが、消防士としてキャリアを形成したいならぜひ昇級を目指してみてください。

消防大学校へ入学する

消防士のキャリアパスとして、消防大学校へ入学するという方法もあります。

消防大学校とは、都道府県が管轄となっている通常の消防学校とは別に、総務省が管理している消防教育機関のことです。

消防大学校では、消防学校では行っていない幹部候補の職員育成や、訓練・研修などを行っています。

消防士になってから最初に入る消防学校の訓練もかなり厳しいですが、消防大学校では消防士としてさらに高度なスキルを身につけられるのが特徴です。

また、消防大学校には各消防組織から、より高いレベルを目指す消防士が集まるので、入寮する職員全体のレベルも高め。

向上心の強い消防士たちと高度な訓練を受けることで、確実にキャリアアップにも繋がります。

消防士として高いスキル・経験を積みたいなら、消防大学校への入学も検討してみるといいかもしれません。

消防士の年収が高い都道府県は?

総務庁の地方公務員給与実態調査を参照すると、消防士の年収がもっとも高いのは東京にある東京消防庁です。

東京は家賃や物価が高いことから、民間企業の平均的な給料や時給なども、ほかの都道府県に比べると高く設定されています。

そのため、東京消防庁の給料も群を抜いて高めです。

ほか都道府県では消防士の給料水準が平均して20万円ほどなのに対し、東京消防庁の給料水準は25万円を超えています。

また、東京の次に消防士の年収が高いのは神川県の相模原市、その次に高いのが兵庫県の神戸市です。

消防士として高い年収を狙うなら、上記のような都道府県への就職を目指すといいのではないでしょうか。

消防士に向いている人

続いて、消防士にはどんな人が向いているのかを紹介します。

体力とメンタルに自信のある人

消防士という職種のイメージ通り、消防士になるには強靭な体力は必須です。

消防士になると、過酷な現場で思い荷物を抱えながら救助活動をすることはもちろん、人を抱えて救助にあたることもあります。

そのような場面では、最後まで迅速に救助できる体力は絶対的に必要です。

消防士は現場での仕事がない日でも、日々訓練やトレーニングに励んでいるため、体力のない人が消防士になるのは厳しいかもしれません。

また、現場で救助活動をする際、ときには人が亡くなったり、自分自身が危険な目に遭ったりすることもあります。

消防士と聞くと体力面ばかり重視されがちですが、強靭な体力に加え、上記のような場面に遭遇しても仕事を続けられるメンタルの強さも必要です。

冷静な状況判断や対応ができる人

冷静な状況判断や対応ができる人も、消防士に向いています。

消防士が現場で救助活動にあたる際、あらゆる危険性や条件に備えて、その場での適切な対処が求められます。

そのため、人の命を救う仕事である消防士は現場で冷静な判断をし、迅速な対応ができる人が向いています。

逆に不足の事態が起きた際などに、慌てて冷静な判断ができない人や、パニックに陥ってしまうような人は、消防士になるのは難しいといえるでしょう。

協調性やチームプレイに長けた人

消防士に向いている人の特徴としてもう1つ挙げられるのは、協調性やチームプレイに長けた人。

消防士が現場で人の救助や消火活動などをする際、一人で業務にあたることはほとんどありません。

どんな現場においても常に仲間とチームを組んで行動し、仲間とうまく連携をとりながら業務を遂行するのが基本です。

もし自分だけの勝手な判断で行動した場合、仲間に迷惑がかかるだけでなく、要救助者の命にかかわる危険性も。

そういった点をふまえ、消防士学校では寮で集団生活をし、仲間との協調性やチームプレイなども学びます。

したがって、仲間としっかりコミュニケーションがとれ、協調性のある人のほうが、消防士としては向いているでしょう。

消防士が年収をあげる方法

ここからは、消防士が年収をあげる方法を解説します。

他業種に転職する

公務員である以上年収の限界が決められています。

年収を上げたいのであれば他業種に転職をすることが年収をあげる近道となります。

ただし、完全な未経験となると初めからやり直しとなってしまうので、消防士としての経験を活かすことができる職場がおすすめです。

  • 運送業→大型免許を活かすことができる
  • 自衛消防組織(工場や大きいビルなど)→消防士としての経験を活かす
  • アミューズメントパークなどでの救命士→救命士としての経験を活かす
  • 資格学校で働く→消防士としての経験を活かす

など実は消防士としての経験を活かすことができる職場はたくさんあります。

消防士から転職をする方も少ないので、採用枠が空いていれば採用される確率も高く、特殊な仕事の場合は給料も高めに設定をされています。

昇格試験を受ける

昇格試験を受けることも、消防士の年収をあげる方法として挙げられます。

消防士の次の階級は消防副士長ですが、厳密にいうと消防副士長は現場での監督や指揮をとるほどの権限はなく、自治体によっては階級として扱われない場合もあります。

昇級試験が必要で、はっきりと階級として扱われるようになるのは、消防副士長の次階級である消防士長からです。

消防士長にステップアップしてからはじめて給料が高くなるケースも多いので、年収をあげたいなら、昇格試験を受けて消防士長以上の階級を目指すといいでしょう。

消防士長以上の階級になると、各階級で数年間の経験を積んだあとに、次階級への昇格資格が与えられます。

能力があるからといって、短期間の間に昇格試験が受けらえるわけではないため、その点には注意が必要です。

救急救命士を目指す

救急救命士を目指すのも、消防士が年収を上げる有効な手段です。

救急救命士になると、消防士よりも出勤時間や勤務時間が多いことがほとんどで、そのぶん必然的に給料もあがります。

働く消防組織によっては、救急救命士になってからの出勤手当だけで月に40,000~50,000円を超えることもあるようです。

また、救急救命士になれば、消防士以外にも病院をはじめとした医療機関で働く選択肢も増え、働き方の幅が広がります。

消防士を辞めてほかの医療機関で働くという選択もでき、自分の適性やキャリアに応じて年収アップも可能です。

ただし、救急救命士になるためには国家試験を受ける必要があります。

令和2年度における救急救命士試験の合格率は87%なので、難易度はそれほど高くありません。

しかし、残り13%の受験者は落ちているということなので、試験を受けるなら準備や対策は万全にしておきましょう。

規模の大きい自治体への就職を目指す

かなりイレギュラーな方法にはなりますが、規模の大きな自治体に転職するのも一つの手です。

消防士の給料体系は各自治体により異なりますが、基本的には規模の大きい消防署ほど給料も高く設定されています。

規模の大きい自治体ほど昇格できる階級の枠も多いため、昇格して給料アップを狙うなら階級の多い消防署に就職するのもポイントです。

消防士から転職するならリクルートエージェントを利用しよう

公式サイト:リクルートエージェント

最後に、消防士から転職するのにおすすめの転職エージェントを紹介します。

転職エージェントはかなりの数がありますが、消防士からの転職を目指すならリクルートエージェントを利用するのがおすすめ。

リクルートエージェントをおすすめする理由は、以下のような特徴があるからです。

ポイント
  • 公務員の求人事情に詳しいアドバイザーが多数在籍
  • 求人の数自体も多い
  • 面接対策やキャリア相談など、サポートが充実している

リクルートエージェントには公務員の求人情報や内部事情に詳しいアドバイザーが多数在籍しているので、利用すれば自分の希望に合った求人を紹介してくれるでしょう。

また、リクルートエージェントは公務員をはじめ幅広い職種の求人を扱っており、求人の数自体も豊富です。

公開求人は13万件以上、非公開求人は15万件以上あり、合計すると約30万件ほどの求人を掲載しています。

さらに、リクルートエージェントは面接対策やキャリア相談などのサポートが充実しているのも特徴。

はじめての転職でも、面接での受け答えや自分の適性などしっかりと相談に乗ってくれるため、安心して転職に臨めます。

\

リクルートエージェントに
無料登録

関連記事:リクルートエージェントの口コミ・評判を徹底比較!特徴や注意点も解説

まとめ:消防士の平均年収は682万円

消防士に平均年収は682万円で、日本人男性の平均年収である540万円と比較しても、かなり高い年収水準でした。

消防士はポジションによる細かい年収の違いはありませんが、配属される自治体や条例などにより、年収に差があります。

また、階級があがればそのぶん給料も上がる職業なので、昇級試験などを受けて階級があがれば平均以上の年収を目指すことも可能です。

ただし、消防士は危険性を伴い仕事であり、転職するなら体力やメンタルの強さに加え、冷静な判断力や仲間との協調性なども求められます。

強い意志がないと務まらない仕事でもあるので、そういった点なども考慮して転職を検討してみてくださいね。