Webサイトを改善し、より成果の上がるものにしようとしたときに、何を最初に行うでしょうか。
SEOやサイトの改修による導線の変更、ランディングページやフォームの新たな制作など、さまざまな改善の方策がありますが、その中で工数や費用をかけずに大きな成果を得ることができるのが、CTAの改善です。
今回は、CTAとはそもそも何なのかということから、その改善方法までを紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
CTAとは
CTA(Call To Action)とは、日本語では「行動喚起」と訳されます。
Web上のユーザーに次のページへの遷移を促したり、PDFをダウンロードさせたり、動画を閲覧させたりと、行動を喚起させるためのテキストや画像などのことを指します。
多くの場合はバナーやボタンなどで表示されています。
Webサイトには、ユーザーにサイトを閲覧してもらいその中の情報を認知してもらう役割のほか、資料請求や予約、購入などのユーザーの行動により成果を獲得する、すなわちコンバージョンの獲得という役割があります。
コンバージョンの獲得を目的としているWebサイトは、ユーザーのコンバージョンする確率を高めるために施策を行うことが重要です。そんなコンバージョン率の向上施策に、CTAは重要です。
CTAは、Webサイト内で情報を見てもらったユーザーに次の行動を案内し、行動を喚起する役割を担います。
例えばWebサイト上で、
「次のページへ進む」や「資料請求はこちら」「商品を購入する」などの文言が入ったボタンを見たことがあると思いますが、これらがCTAです。
詳しくは後述しますが、CTAは行動を喚起するために、単に文言だけでなく、押しやすいようにボタンの大きさに配慮されたり、視認性を考えて色や設置の位置が考えられたりと、などさまざまな要素で改善を加えることができます。
CTAは、ボタン1つに多くの改善施策が加えられますが、それはそれだけCTAがコンバージョン率の向上に寄与することがわかっているためです。Web上のさまざまな施策の中で、少ない費用や工数で高い効果が得られる施策が、CTAの改善です。
CTAの重要性
CTAはなぜ重要かと言うと、Webサイトの達成したい目的に対し、費用や工数を最小限に抑えながら効果を上げることができるからです。
前述した通り、Webサイトの目的は
(2)資料請求や予約、購入などのアクションを起こしてもらう
ことになります。
(1)は、トップページやランディングページなどからユーザーがスムーズに目的のページに遷移してもらい、スムーズに情報を取得してもらうことで、サイトの満足度向上につながります。
また(2)は、資料請求や予約、購入などユーザーにアクションを起こしてもらう必要がありますが、そこに至るまでの導線が複雑だったり、入力する要素が多かったりとハードルが高ければユーザーはアクションを起こすことなく簡単にあきらめて離脱します。
(1)(2)ともに、ユーザーの次のアクションが重要になっており、それを喚起する大きな要素がCTAなのです。
さらに、閲覧ユーザーを増やしたりコンバージョン数を増やすには、
(B)コンバージョン率を上げる
という2つの方法があります。(A)は、サイト全体のSEO対策や広告による流入数拡大が考えられますが、いずれも多額の費用がかかる方法です。
一方(B)は、CTAの改善施策などサイトの一部分を改善するという施策になりますが、改善部分が限られ工数も少なく済むので(A)より費用が安価に抑えられ、結果的に少ない費用でコンバージョン数アップに寄与することができます。
CTAの改善は、取り掛かりやすいサイトの改善施策です。現在興味をもってサイトにアクセスしているユーザーをとりこぼさないようにするためにも、ぜひ取り組むべき施策であると言えます。
CTAの改善しコンバージョン率を上げる7つの方法
では、CTAを改善しコンバージョン率を上げるための7つの方法をご紹介します。
Webサイトの改善方法として、ぜひ参考にしてください。
(1)次のアクションを明確にする
CTAは次の起こしてほしい行動をユーザーに伝えユーザーの行動を換気させるためのものなので、起こしてほしい次のアクションを明確に訴求しユーザーに伝える必要があります。
あいまいな「次はこちら」だけではなく「お申込みはこちら」「今すぐ購入する」など、何をしてほしいか、をボタンの中で明確に訴求することで、ユーザーの反応を高めることができます。
(2)他の選択肢を極力減らす
ランディングページなどでよく、「資料請求はこちら」と「購入はこちら」が併記されているなど、CTAが複数あるものがありますが、CTAを複数設置することは基本的におすすめできません。
サイト側からしてみれば、どちらでもいいからコンバージョンが欲しい、もしくは、ユーザーの利便性向上を考え、あえて複数のCTAを設置することがありますが、一方ユーザーにとってみれば、どちらのアクションをすればいいのか迷う要因になり、最悪の場合サイトから離脱することになります。
むやみにCTAを設置するのではなく、一番欲しい成果に結びつくCTAのみを、最小の数だけ設置するようにしましょう。
(3)リンク先をイメージさせる言葉を使用する
CTAでユーザーの行動を喚起させるためには、次の行動もユーザーにとってメリットのある必要があり、「次のページに行くことで、さらなるメリットを享受できる」とユーザーに期待していただく必要があります。
例えば「資料請求はこちら」よりも、より具体的に「効果を上げる方法を教える資料をダウンロード」や「さらに知りたい人は、こちらからお問合せください」など、より具体的にメリットを訴求してあげることが重要です。
単に次のページへ遷移させるだけでなくより具体的な内容にならないか検討してみましょう。
(4)目につく場所へ設置する
CTAはユーザーの目につく場所に設置することが基本です。
例えば、ブラウザ上部や下部に固定設置したり、
- ファーストビューの直下
- コンテンツの途中
- コンテンツの読了部分
など複数の箇所に設置されたりと、ユーザーの目につく場所に設置することでアクションをしたくなったユーザーがすぐアクションに移れるように工夫します。
ただし、設置場所にこだわるあまり、CTAがじゃまでコンテンツが読みづらくなったり、頻繁にポップアップで表示させるなどユーザーの利便性が低下するような設置方法は逆効果なので注意しましょう。
(5)強調するデザインにする
CTAは、ユーザーに視認してもらわなければボタンを押してもらうことができません。
そのため周りのコンテンツよりも目立たせた、強調するデザインにして、ユーザーの目について気づいてもらう必要があります。
なお、どういうデザインにすればいいか、というセオリーはありませんので、A/Bテストなどを実施しながら一番効果の高いデザインを検討していくことが重要です。
(6)クリックさせる心理的ハードルを下げる
ユーザーにアクションを起こしてもらうためには、その行動に対する心理的ハードルを下げる必要があります。
まだ資料請求程度にしておきたいユーザーに購入を促したところで、次の行動へのハードルは高いままです。
ハードルの低いアクションをあらかじめ考えておくことも重要ですし、CTAの中のメッセージに「簡単手続きで資料請求」「3ステップで資料がダウンロードできます」など、簡単に手続きが完了できる旨を訴求することでも、ユーザーの心理的ハードルを下げる効果があります。
(7)緊急性を感じさせる
緊急性を感じさせるというのは、ユーザーに急いでアクションしないと損してしまう、と感じさせることです。
ユーザーに今行動してもらうために「数量限定!お急ぎください」「今月末まで特別に差し上げます」など、期限や数量が限定的であることを訴求することで、ユーザーの行動を促進させることができます。
CTAを改善するためにはABテストを実施して効果検証を繰り返す
CTAを改善する上で、外せないフローがA/Bテストの実施です。
前述の7つの改善施策も、むやみに実施してもコンバージョン率の改善にはつながりません。
仮説を立ててA/Bテストを実施し検証をしながら、効果の高い施策を探っていく必要があります。
例えばコンバージョンが資料請求であり、資料請求フォームへの遷移を促すCTAが「資料請求はこちら」と記載されたテキストリンクであるとします。
この場合、目立たせたほうがもっとCTRが上がると仮説が立てられ、テキストリンクとボタン形状のバナーによるテストを行います。もし仮説通りバナーのほうが結果が良ければ、今度は色や大きさ、そしてバナー内のテキストをA/Bテスト、というようにどんどんテストをして、検証と改善していくことが重要です。
A/Bテストを行う上で注意する点は、2つの施策を同時期に行う、ということです。コンバージョンは時期によっても獲得傾向が違うので、テストは1回やって終わりではなく継続的に実施されていくべきでしょう。
さらに、A/Bテストにおいて複数の改善要素を同時に盛り込むことは原則してはいけません。何が効果に影響を与えたのか検証のしようがありませんので、1回のテストにおいて検証項目は1つまでがいいでしょう。
テスト期間を短縮しようとテキストと色、大きさを同時にテストすることはやってはいけません。
なお、このようなA/Bテストを簡単に実施するためのツールもあります。
CTAのボタンを2種用意しランダムに出し効果を検証したり、前述においてNGと言及した、複数の要素を同時にをA/Bテストして一番効果が高いモノを検証する多変量テストがツールを使うと出来たりします。
さらにバナークリエイティブ自体をツール上で簡単に作ることができたりするなど、非常に便利なツールなので、ぜひ利用をおすすめします。
CTAの改善事例
参考までに、CTAの改善事例を見てみましょう。
オバマ元大統領の選挙キャンペーン
CTAの改善事例として一番有名な事例は、アメリカのオバマ大統領の選挙キャンペーンにおけるWebサイトです。まだマーケティングの世界でA/Bテストすらあまり実施されていなかった2007年の大統領選挙において、ダン・シロカー氏によって手掛けられました。
この時CTAとして「SIGN UP(会員登録)」「SIGN UP NOW(今すぐ会員登録)」「JOIN US NOW(今すぐ参加する)」「LEARN MORE(もっと詳しく)」の4パターンが用意され、メインビジュアルとともにA/Bテストにかけられました。
結果、成果に一番寄与されたのは「LEARN MORE(もっと詳しく)」だったとのことですが、今すぐしてほしいことを直接訴求するのではなく、あえて行動のハードルを下げることでコンバージョン率を改善した事例として知られています。
Amazon
Amazonで書籍を買うとき、本の画像の上に「試し読み(矢印画像が横に付く)」があると思いますが、本の画像をクリックさせ、中身を確認させる上で、あのCTAは非常に効果を発揮しています。
単に本の画像だけよりも、「試し読み」の文言があることで、画像をクリックすることで本の試し読みができることが訴求できます。
本の試し読みの促進を購入検討者に対し行うことができるので、購入を強く促すことができています。
また、Amazonは画面上のアイコンがほとんど少数のCTAボタンしか存在しておらず、他はテキストでページと商品画像でページが構成されています。
このこともCTAボタンを際立たせる効果を持っており、ユーザーにクリック=購入を促す効果を出しています。
basekit
Webサイトの構築支援ツールを提供している「basekit」は、ランディングページの改善施策の中でCTAを改善し成功した会社です。
サービスプラン各々の価格を目立たせて売れ筋サービスプランを大きくしたほか、CTAについて、ボタンの形状に変更して際立たせたほか、大きさも大きくし色も緑色に変更しました。
さらに文言を「SIGN UP(契約する)」から「GET START(さぁ始めよう)」に変更した結果、コンバージョン率が大きく改善したとのことです。
特にボタンの形状にして際立たせ、文言でハードルを下げたことが大きなポイントと言えますが、作業としてはちょっとした工数の作業となるので、少ない労力で大きな改善を得た事例と言えるでしょう。
CTAの改善でコンバージョン率をアップ
今回は、CTAとはそもそも何なのかということから、その改善方法までを紹介してきました。
少ない工数でコンバージョン率を改善することができるCTAの改善は、最もとっかかりやすいサイトの改善方法です。
またサイトの利便性向上にもつながるので、CTA改善後にSEOやWeb広告を用いた施策でサイトアクセスの増加を図ったときにも、より大きな成果を期待することができます。地道なA/Bテストの繰り返しとなりますが、ぜひ取り組んでみてください。