「答えは顧客の中にある」平凡な私が世界に証明したいこと【チャネルトークCCO インタビュー】

“熱狂的ファンを作る”All-in-one接客チャット「チャネルトーク」をご存知でしょうか?

オンライン上の企業と顧客のあいだにおけるコミュニケーションの問題を効率的に解決できる手段としてグローバルで約60,000社が導入し、現在も急成長を続けている顧客コミュニケーションツールです。

今回は、そんなサービスの運営をしている株式会社Channel CorporationのCCOを務める坂本彩さんにインタビュー!顧客に寄り添うマーケティングとは何か、これからの時代にとって大切なコミュニケーションの在り方についてお伺いしました。

<坂本彩さんプロフィール>

1993年7月22日生まれ、東京都出身。上智大学在学時、インターンとしてチャネルトークに参加。その後、アクセンチュアでIoTや音声UIの開発に携わり、2019年から同社に入社。現在、CCOを務める。

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お客様と友達になれるか?チャネルトーク流ユーザー視点の持ち方

ーー「チャネルトーク」では、顧客の声に耳を傾け、お客様とコミュニケーションをとることを大切にしている文化が強いと聞きます。こうした顧客の声を聞くにあたり、坂本さんが大切にされていることを教えてください。

そうですね。まずチャネルトークには、仕事を進めるときに「顧客に対する解像度が高い人のことを信用する」という判断基準があるんです。勤務年数や年齢、役職などに関係なく「顧客のことをどれだけ知っているか」をひとつの信頼基準としています。なので、「顧客の声を聞くこと」「その声から何が本質的なニーズなのかを考える」が社内ルールにもなっているんですよ。

顧客の声をそのままサービスに反映するのではなく、「なぜ?」をひたすらお聞きして、本質的にその人が求めていることを探り、そこに施策を提案していく…これが基本的な動き方ですね。

ーー「顧客のことをどれだけ知っているか」がチーム内の信用基準になるというのは、驚きです…!この“知っている”というのは、具体的にどういうことなのでしょう?

一言で例えるならばお客様と“友達のようになる”ということです。ご飯を一緒に食べる、最近のInstagramの投稿についてお喋りをする、仕事に関してのお話しもする…など、様々な視点から関係性を築きます。実は会社のモットーとして「お客様と友達になる」というのも明文化されているんです。

——形式的な関係性だけではなく、人としてのお付き合いを大切にされているのですね。

友達であれば、相手のことが気になって、様々な話を聞きたくなりますよね。その人がどんなことに困っているのか、興味を持っているのか知りたくなるはずです。

ところが、お客様として関わってしまうと、形式的な会話ばかりをしてしまうことがあります。例えば「今あなたが抱えている課題はなんですか」とか質問してしまう。もちろんそういうことをお聞きするときもあるのですが、そういった質問から得られる回答をいくら集めても、お客様のことを本当の意味で知ることはできません。

なので質問の解像度をより高めるために、“友達”を意識しています。

かしこまって、顔をこわばらせ「〜ございますでしょうか」といった感じだと、お客様も心を開けないと思っていて。お客様がリラックスして自分のことを話していただけるように、対等でカジュアルな雰囲気づくりを心がけていますね。

ーー坂本さんが“友達”をどのように定義しているのか、もう少し詳しく知りたいです!

本当の友達の間柄って互いに「尊敬」している部分があると思うんですよね。こちらから尊敬するのはもちろんのこと、お客様からも尊敬されないといけない、というのがあって。お客様を神様だと思っていたら向こうから尊敬をしてもらうことは難しいですし、対等な関係にもなれません。コミュニケーションをとる際、上下関係を意識してお客様のほうに寄り添い過ぎてはいけないし、かといって距離をおきすぎてもいけない。この距離感に関しては、日々フィードバックされますね。

ーー「答えは顧客の中にある」というモットーを掲げていますが、つい“自分の中にある答え”に捉われてしまうこともあると思うんです。そういったバイアスを取り除いていく方法があればお伺いしたいです。

もちろん私の中にもバイアスは十分にあると思ってます。対策としては、とにかく中間地点のチェックを徹底することに尽きますね。

例えば、何か施策をやる際、最初は顧客の声を聞くところから始まりますが、それで終わるのではありません。マーケティングの有名な考え方に「ドリルの穴理論(※)」がありますが、お客様にとっての「ドリルの穴」とはなんなのか、「ドリルの穴」を提供するために必要なポイントはなんなのか問いを重ねます。

※「ドリルの穴理論」:アメリカの学者レビットの著書『マーケティング発想法』(1968年)で紹介された「ドリルを買う人が欲しいのは”穴”」という言葉に基づくマーケティングの考え方。商品を売るには顧客にとって本当に求めているものは何かを考えるべきという示唆を含む。

そして、施策の方向性がある程度固まったところでお客様にもう一回聞きます。そこで良い反応が得られるかどうかを確認する。そのため、施策が走り始めて1日で止めることも全然あります。「とりあえず一週間走りましょう」といったスパンでは動かないですね。

特に検証段階ではそうした傾向が顕著です。毎日チェックして走り始め、結果を見てなぜうまくいかないのか、うまくいく見込みがあるのかを検討し、ちょっとでもうまくいかないことがあったらお客様にその時点でお聞きします。「なんとなくうまくいくだろう」で施策を走らせることはせずに、「なんでだろう」がなくなることを目指して、お客様の声なり結果の数字なりで埋めていって、目標にした結果を出せるよう戦略的に動いていますね。

ーー言うは易く行うは難しな印象です…。顧客を大事にしたいという思いだけでなく、タフネスや打たれ強さ、立ち向かう勇気といった精神的な部分の強さ、しなやかさが求められる感じがします。

たんに仕事できるだけだったら不十分ですよね。絶対にこれを達成するという粘り強さや「お客様のためになることをやり切る」っていう思いの方が大事だと思っていて。スキルは、あとからついてくるものですから。

これからの時代のコミュニケーションは「身近な口コミ」

ーーチャネルトークは従来のカスタマーコミュニケーションツールをチャットにアップデートしたサービスだと思っています。坂本さんは、今の時代のコミュニケーションがどのように変化していると思いますか?

情報を得るためのツールがマスメディアしかなかった時代に比べて、今はいろんなコミュニケーションツールができましたよね。フラットな関係の中で情報が行き交い、いろんなところから情報が得られるようになりました。象徴的な存在がインフルエンサーだと思います。自分たちに近い存在でありながら、最新情報を発信してくれるロールモデルのような人たちです。

ところが、顧客のリテラシーが高まってきていて、インフルエンサーが発信した情報だとしても商品やサービスの良さが伝わりづらくなっているんです。広告だとわかった時点で、「あー、これはお金をもらった案件なんだな」と思われてしまう。日本ではまだインフルエンサーと呼ばれていますが、韓国やアメリカだと「セラー」って呼ばれているんです。つまり広告案件を担っている人たちだと。そうなると“フラットな情報”を届けてくれるという信頼があるとは言えません。

では次にどうなるかというと、原始時代のコミュニケーションに戻ると思うんですね。親しい人や近しいコミュニティの人が言っていることに価値を置く時代がやってくるんです。

ITが発達してきたことやコロナの影響もあると思いますが、友達とインターネットを通じてコミュニケーションを取るという行為が非常に楽になりました。つまり情報の共有は、遠くの誰かではなく、近しい関係の中で行われやすい。そう考えたとき、企業もこれまで通りお客様を“お客様”として見るのではなく、友達として関係を築く必要があります。簡単に言えば、自分たちのファンになってもらわなければならないのです。

個人のお客様をファンにして、そのファンが近しい誰かに口コミで商品やサービスをおすすめする。この“身近な口コミ”の影響力がどんどん強まっている状態だと思います。

今までみたいな顧客コミュニケーションだと、結局ファンにはなってもらえないですよね。「『チャネルトーク』はお客様と友達になれるように設計してあるツールなので、お客様と友達になってファンを作ってください」と繰り返し言っていて。チャットを採用しているのも、メールや電話に比べてファンを作りやすいからなんです。

長い目で見たときに、幸せになれるか?

ーー坂本さんはそんな「チャネルトーク」にどのような想いを抱いているのでしょうか。

私はチャネルトークでインターンをしていた時代があるのですが、当時は「答えは顧客にある」という信念をそこまで抱いていたわけではないんです。コーヒーチェーン店やコールセンターなど、お客様に接する仕事をずっとしてきたので、「しっくりくるなぁ」という部分はもちろんありましたが。

ーーコミュニケーション自体には当初から興味があったんですね。

そうですね。コーヒーチェーン店でもコールセンターでも、お客様が心から求めているものはなんなのかというところ、潜在的なニーズを意識しながら仕事していたと思います。

例えば、お客様は何のためにコーヒーを飲みに来ているんだろうと考えたとき、コーヒーを飲みたいという気持ちの奥にある、何かを癒したいという気持ちを察してみるとか。

コールセンターの仕事でいえば、クレームが中心で、はじめから怒って電話をかけてくる方も多いんです。目の前のお客様がどうして怒っているのか、何を解決したらハッピーになるのかということを、ヒアリングを通して考えました。それさえ解決すれば、怒っているお客様のクレームを単純に「処理する」のではなくて、ファンになっていただけるのではないかという思いで取り組んでいました。

ーー坂本さんご自身は、そんな強いメンタルをどうやって身につけられたのですか?

とても個人的な話ですが、子供時代からリーダータイプだったんですが、学生時代にとある権力争いのようなことに巻き込まれて…そのときに「誰に勝つとか」「自分がいかに優位に立つか」と考えることが、取るに足らないものだと思い知ったんです。権力というものの脆さに気付いたんですね。そんな経験から、本質的なことが最後には大切になるってことを証明したいという思いが、私のモチベーションになっていると思います。

ーー坂本さんにとって本質とはなんでしょうか?

うーん…その話はもう少し考えさせてほしいのですが(笑)。そうですね…一人一人が最後に幸せになれるかどうか。最後の最後に、本当の意味で寄与できるかとかかなぁと思っていて。なんか目の前に見えているものだけじゃないって感じですね。長い時間の中で見たときに、自分にとって正解であるかどうか…中長期的な視点のことだと思っています。

平凡な私が世界に証明できること

ーー坂本さんの今後の展望について教えてください。

チャネルトークは1~2年でユニコーンになる予定ですが、そのまま上場せずに「デカコーン」を目指したいなと思っています。もちろん、そこで終わりじゃなくて、Googleとかアマゾンぐらいになりたい。いずれは世界のトップに立つことを目指しています。

ーーナンバーワンを目指すということですよね。自分たちが携わる事業や仕事への信念をそこまで確かなものにできているのはなぜでしょうか。

もしかしたら、うちの会社(株式会社Channel Corporation)のグローバル代表・Redの想いと共鳴している部分が大きいかもしれないです。私個人には大きな力があるわけではないですし、名声が欲しいわけでもありません。「なにがなんでも1位になりたい」と思っているわけでもないんです。

ただ、代表の強くて大きな思いに引っ張られるかたちで、「自分たちもできる」という気持ちにもなるし、私自身も本質的なものを追求したときにどこまでいけるのか試してみたい、証明してみたいという気持ちがあるんですよね。

——グローバル代表の夢とは?

「正しいことをしながら最終的には宇宙に行きたい」っていうことなんです。人類に貢献したいという真面目な側面もあります。が、実はちょっとかわいくて、純粋な願望なんです。彼は小学校のときにお父さんが亡くなってしまって自分でお金をある程度稼がないといけない状況の中で色々悩んでたんですけど、ある小説を読んだらしくて。その小説の中には「宇宙から地球を見たら、それはホコリくらいの大きさだった。さらにその中にいる人間なんて、ちっぽけなものだから。誇りをもって生きなさい」…といったようなことが書かれていたそうなんですね。その小説にすごく勇気をもらったから、実際に自分も宇宙に行って地球を見たいというのが彼の夢なんです。

彼が宇宙に行くためには、企業として大きくなって彼自身もそうだけどちゃんと認められないといけないだろうと。でないと、宇宙に行くプロジェクトには入れないだろうと考えていて。そんな代表の純粋な気持ちに、私自身も引っ張られて…。本質的なところを追求したときにどこまでいけるのかということを知りたい、証明したいと思っているので、彼の夢に乗っかっているんですよね。

ーーそれでは、あくまでも「チャネルトーク」は手段でしかないということですね。

そうですね。もちろん社内のメンバーが抱いている夢もそれぞれ違います。グローバル代表と同じ船には乗るけれど、最終的な目的地はそれぞれ違うかもしれないし、途中で船を降りる人もいるかもしれない。代表が敷いたレールに乗っかることが自分の夢を達成するための近道になると考える人たちが、それぞれのタイミングで参加してくるという感じです。

私たちが1位になるためにするべきことを考えると、やはりお客様とビジネスでつながることが強みになる。しかしそこにはいろんな本質的な問題があって、それを解決するために良いツールを提供したいという思いで取り組んでいます。「チャネルトーク」が今後、私たちの事業の全てだと思っているわけではなく、平凡な私たちでも本質的なことを追求してお客様の気持ちに真摯に耳を傾けることができれば、頂点を目指すことができるはずだという確信をみんながもってるんです。

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