マーケティング用語の「エンゲージメント」とは?【顧客と繋がってビジネスに生かす】

マーケティングの世界には、顧客と深く繋がるための用語(概念)に「エンゲージメント」とがあります。マーケティングをする人にとっては、重要な用語(概念)であり、現在ではマーケティングの世界だけで利用されている訳ではありません。

マーケティング以外では聞くことがまだまだ少ない「エンゲージメント」について、その概念や構成要素など、他分野でも利用可能な視点を含めてしっかりとご紹介していきたいと思います。

ここで、しっかりと「エンゲージメント」とは何かを理解して、マーケティング業界をはじめ、様々な分野で活用してください。

エンゲージメントとは?

最初にご紹介するのは「エンゲージメント」という用語の基本的なことからです。

エンゲージメントは、一般的には「結婚」のことです。しかし、マーケティングにおいては、この「結婚」という事柄から「相手を理解しようとする意志」という意味で理解して頂くことになります。

実際には、マーケティングの世界では、

「顧客とのつながり」

「顧客との関わり」

を強めていくことを重視するための手法として紹介され活用していきます。

比較的新しい用語として扱われがちですが、その歴史は2004年頃とされアメリカが発祥の地とされています。

実際には、2009年頃にFacebookで紹介されたことから周知されたとされています。

このエンゲージメントですが、その種類は3つあるとされています。今度は、この3つについて整理していきましょう。

顧客エンゲージメントとは

「顧客エンゲージメント」とは、顧客とのつながり、顧客と企業との間の繋がりを作ることとされています。人の基本行動として、自分と他人との間で信頼関係を築けていること、繋がっていると感じることに満足度を感じるとされています。

これを、人と企業との間での繋がりを持つことを意味します。

顧客エンゲージメントとは、顧客から見る企業ブランドに対する愛着や期待ともいえます。

つまり、顧客エンゲージメントを追求するとは、顧客が企業に対して継続的にサービスを受け続ける関係性を構築すること、その関係を継続的に維持し続けることなります。

従業員エンゲージメントとは

顧客エンゲージメントとは違い、従業と企業との関係性を維持し続けることが「従業員エンゲージメント」です。

企業と従業員の関係はひと昔前と比べて変化してきています。単に給料を得るということではなく、自分らしさや働き甲斐など、従業員の個々の満足度を追求する場となってきています。

顧客エンゲージメントとは異なり、従業員エンゲージメントとは従業員が企業に所属し続けたいと思える愛着や信頼などを意味すると理解してください。

顧客エンゲージメントを追求するとは、従業員が長く働き続ける、従業員満足度が向上することを向上させることになります。

現在では、従業員の定着度や満足度は、企業における重要な要素です。企業は、顧客の維持だけではなく従業員を維持し続けることも重要なファクタとして捉えており施策をめぐらしているのが実情です。 

SNS上のエンゲージメントとは

最後にご紹介するのは「SNSエンゲージメント(俗語)」です。

少し前までは、存在しなかった用語になりますが、現在ではSNSにおけるエンゲージメントも存在します。ご存知の通り、現社会においてはSNSから発信される情報や影響度合いは格段に大きくなってきています。

企業はSNSにアカウントを作成し情報の発信や顧客の囲い込みを行っています。

Facebookやインスタなどの代表的なSNSで「いいね」などのアクションを獲得することで、より多くの人の目に触れる工夫をしており、SNSでの繋がりから企業サービスを利用する顧客獲得を狙っています。

SNSエンゲージメントは、より多くの人の目に触れる機会を作れるかや、検索キーワードに引っかかるかの工夫をしつづける必要があります。

エンゲージメントと一言で言っても、この3つの種類があることを念頭においておきましょう。

今回ご紹介するのは「顧客エンゲージメント」でマーケティング分野において非常に重要視されている部分となります。

この3つの違いと、顧客エンゲージメントの持つ意味を前提に以下の内容を理解して頂きたいと思います。

エンゲージメントが必要とされる理由とは

では、少し視点を変えて考えてみましょう。

どうして「エンゲージメント」が必要なのでしょうか?前述でご紹介している通り、顧客との関係性を追求することは当然ですが、企業として重要な活動です。

でも、改めて考えてみると如何でしょうか?

顧客との繋がりは大事だと分かっていても、その具体的な理由を説明することは難しい場合もあります。

では、その理由とは何か。

それは、顧客のサービス購入プロセス「カスタマージャーニー」の変化が理由といえます。

このカスタマージャーニーの変化とはどういうことでしょうか。

従来のカスタマージャーニー

従来のカスタマージャーニーとは、企業から顧客の一方通行となる情報発信とされていました。

確かに、インターネットの普及により誰もが簡単に情報を入手できる様になる前は、広告という媒体を使って企業側からの情報を顧客側が受け取る形により、商品やサービス利用の行動を起こす行動様式でした。

これは、従来の情報発信が新聞やテレビ等によるものが主流だったからです。その為、現在よりも格段に企業が優位な情報発信となっていました。

現在のカスタマージャーニー

従来型のカスタマージャーニーの内容を踏まえ現在の粕田マナージャーニーについても理解していきましょう。

従来型でも触れていますが、SNSでの情報発信が頻繁に行われる現在では、サービスの提供前(購入や契約の前)に予め顧客による情報収集や比較を行える環境が構築されています。

新聞やTVなども引き続き利用されていますがSNS等の口コミは、顧客にとっての重要な情報源です。従来では出来なかった顧客自らが主体となる情報収集や比較を行うことで契約後のギャップを埋めることも格段にできる様になり、顧客後のキャンセルを防ぐことにもとながっています。

こうした状況の中でのマーケティングでは、適切なタイミングで顧客が閲覧可能な情報の掲載や、顧客への提供を行うことでサービス契約の意思決定を行う導線を作ることに繋がり、長期的な関係作りに役立てることが出来ます。

参考:カスタマージャーニーマップ

参考までにカツマ―ジャーニーの実施時に作成される「カスタマージャーニーマップ」についてもご紹介しておきます。

「カスタマージャーニーマップ」とは、顧客の動きを予測し実際の行動から、サービス契約までの流れを見えるかした資料(マップ)のことです。

カスタマージャーニーの直訳が「顧客の旅」に関連された用語だと理解してください。

エンゲージメント戦略とはどうすることか

エンゲージメントの概念を理解したら、今度は活用する為の戦略(方法)についても、整理していきましょう。

エンゲージメント戦略で大事な事は、以下の様な内容です。

高品質コンテンツの提供

SNSをはじめとする情報を元に、現在の顧客は複数の選択肢を持つことが可能です。

これは、同じサービスや商品について複数の商品を比較して決定していくことを意味しています。

つまり、比較される他のコンテンツと比べ、質の高いコンテンツを準備することにより顧客の比較結果で上位に位置付ける、または、一度離れてしまった顧客が将来的に戻ってくる可能性を高めることに繋げていくことを実現させます。

動画やオーディオの活用

コンテンツの提供には、動画や動画に紐付くオーディオ(音楽)の連動は非常に重要です。

こうした連動を充実さえることで、提供しているWEBコンテンツを繰り返し見る可能性が増えていきます。

また、WEB上でリアルタイムでのイベント配信などを行うことで「即時性」を高める期待が出来ます。

顧客参加型の実現

エンゲージメントが高い顧客は、自らのSNS等を通じてサービスや商品の情報を発信する傾向があり、満足度が高ければ高いほど、その傾向は高くなります。

コンテンツを充実させることで、こうした満足度の高いコメントを集める工夫も有効性の高い方法となります。

顧客リスト(メーリングリスト)の構築と活用

集まった顧客情報は、より継続性の高い顧客化へ繋げていくために顧客リスト(メーリングリスト)として構築、活用することが出来ます。

継続的に発信を続けることで、顧客との関係性の強化を促進することが出来ます。

こうしてご紹介していくと、WEBを利用しある種のブランディングをしていることがお分かりになると思います。

WEBを利用することで、顧客の囲い込みをしていく上でもブランディングとの連動もWEBマーケティングをする上でのエンゲージメントの概念には必要となります。

こうした内容を含め、エンゲージメント戦略を構築する際には様々な視点と視野を持つことが必要だということを理解しておきましょう。

エンゲージメントを高める手法

今度は、エンゲージメントを高める手法についても解説していきます。

既に繰り返しご紹介している通り、エンゲージメントを高め顧客との深い関係(繋がり)を構築する為に必要なのは、顧客が企業に持つ愛着や共感です。

これを継続的に構築し高めるためには、顧客が良いと思える体験を継続的に積み重ねる必要があります。良いと思える体験とは、店舗での接客や商品の使いごごちなど様々な観点で積み重ねることが出来ます。

では、一般的にエンゲージメントと高めるために有益とされる手法について整理しながら見ていくことにしましょう。

接客方法の見直しを行う

最も分かり易いのが、「接客方法」の改善です。

この接客方法とは、店舗に来店した時だけではなくカスタマーセンターでの電話でのやり取り等の全てを含みます。

こうした直接的なやり取りは、顧客にとっても深く記憶される体験です。

これは、良い体験も悪い体験も同様です。丁寧な対応は、顧客の記憶に深く刻まれ長い間に渡り企業イメージとして定着します。決して無理な対応をするということではなく、身だしなみや話し方など基本的な事柄を丁寧に行うことで実現することが出来ます。

WEBメディアやSNSからの情報発信を行う

接客方法とは異なりWEBマーケティングらしい方法です。

WEBメディアを始めSNSからの情報発信をし続けること、そして、心象に与えるインパクトを意識して工夫をすることが必要です。

ここでは、WEBメディアを代表的にご紹介していますが広報誌やパンフレットも意識する様にしましょう。

こうした対象をトータル的に自社メディアと総称していいます。こうした自社メディアを全てトータル的に自社の責任で管理することが重要です。

様々な自社メディアは、その特性を活かして活用する必要があります。ターゲットに応じて、どういったメディアをどう活用するかの工夫、見せ方を検討し吟味することで効果に変化が出ます。

「公式アプリ」の活用を行う

最後にご紹介したいのがアプリの活用です。アメリカの調査会社である「Comscore」で発行されているレポート「The 2015 U.S. Mobile App Report」ではアプリ利用ユーザーの数はWeb利用者のの3分の1程度です。

しかし、滞在時間は20倍になるという調査結果が発表されています。

こうした数値であれば、公式アプリを構築し顧客に利用促進してもらうことでブランド力や商品理解を促進させる価値があると考えられます。

この様な手法を活用することで、エンゲージメントを高めることが可能になります。

マーケティングオートメーション(MA)を活用するとは

エンゲージメントを行う上で、設定した指標に沿って効果的な施策を実施し目標を達成する為にはマーケティングオートメーション(MA)を活用する方法があります。

MAは、「定量化」「メーリングリスト」の活用に効果的とされています。

実際に実現する為には

  • ペルソナ設定とシナリオ設計
  • シナリオに沿ったメール配信結果の分析(顧客動向を把握する(定量化))

といった手順で活用をしていくことになります。この2つについては、単体ではなく連動させて実施することが必要です。

マーティング戦略の全般に言えることですが、手法は1つではなく複数を組み合わせて行うことで、より求める結果を得れる特性があります。

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まとめ:エンゲージメントを意識して顧客と繋がることはビジネスの成功への最大の手法

どんな商品、サービスも顧客に選ばれて始めて企業にとっての目的が達成されます。そして、顧客と繋がること、繋がり続けることが企業運営にとって必要である最重要であることは、誰しもわかることです。

しかし、これがビジネス成功の最大の手法であることをもお分かり頂けると思います。エンゲージメントとは、こうした最大の手法の成功の近道です。

今回ご紹介している内容を元に、エンゲージメント手法を活用し顧客との繋がりを作り、深め、より進化させていきましょう。