ペルソナとは?【メリット・デメリットから設定方法まで解説】

「ペルソナ」という用語を知っていますか?様々な分野で利用される用語「ペルソナ」ですが、既に小説や映画のタイトルでも利用されるため、多くの方が聞いたことがあると思います。

でも、聞いたことがあることと実際にWebマーケティング分野やほか業界で利用される場合には、どう使っていくのでしょうか?

今回は、「ペルソナ」という用語について、いまさらは聞けない定義や使い方等についてご説明していきます。

知っている人は復習のためにも、知らない人は改めてその意味を含めてしっかりと理解して今後の仕事に役立てていきましょう。

ペルソナとは

「ペルソナ」を正しく説明できますか?

そもそも、「ペルソナ(Persona)」とは、心理学用語です。

スイスの心理学者「カール・グスタフ・ユング」が提唱した概念になります。

そして、古典劇では、「仮面」を意味することでも知られてします。

ユングは「人間の外的側面・自分の内面に潜む自分」を「ペルソナ」と定義し心理学の分野で活用されることから周知される様になりました。

現在では、Webマーケティングの世界において「仮面の自分」という概念を発展させ、「架空のユーザー像・人物モデル」と定義されて利用されます。簡単に言えば、「架空の顧客」を設定して様々なサービスを設計していきます。

具体的には、架空の人物像を想定し「行動」「価値観」「ライフプラン」等の情報を細かく設定することで、サービスの確立に関わる人々の方向性の統一を図るために利用します。

これは、決してWebマーケティングの世界だけのことではありません。

小売業やサービス業など様々な業種、業界では仮の顧客つまりペルソナを設定し、提供するサービスの設計を行います。この設定が異なれば、提供するサービスの方向性や誤ってしまいますので、慎重な設定が必要になります。

この様に、もともとの発生は心理学ですが、現在では、Webマーケティングをはじめ様々な業種業界で利用される概念になっています。

ペルソナマーケティングとは

では、「ペルソナ」を知っていても「ペルソナマーケティング」という用語をご存知ですか?

「ペルソナマーケティング」とは、まずは「ペルソナ」を設定し、対象となるペルソナのニーズを満たす商品やその提供、戦略を組み立てることです。

考え方としては、「この人物(ペルソナ)は、こんなサービスを求めている」などという仮の設定をして、商品開発をしていくという感じになります。

ペルソナマーケティングと類似する用語に、「ターゲットマーケティング」という用語があります。2つを混同したり、類似しているという説明がありますが、実際にはペルソナマーケティングの方がより細かな設定をすることになります。

具体的な例でご紹介しましょう。

<ターゲットマーケティング>

・50代後半、男性、子供あり、共働き、仕事が忙しく家事は妻に任せている

<ペルソナマーケティング>

・55歳、男性、子どもあり(成人)、共働き(妻はパート)、一軒家に住んでいる

仕事時間は、平日9時〜18時、家族構成:夫、長男(25歳)、長女(22歳)の4人家族で長男は県外で就職(一人暮らし)

などの様に、詳細さの違いが分かると思います。

ペルソナマーケティングのメリット

ペルソナマーケティングのメリットをご説明します。

商品開発をするチーム(関係者)で同じユーザー像を共有できる

これが最大のメリット、そしてペルソナ設定の目的となります。

商品開発は1人ですることは少なく関連する部署や人とのやり取りで完成に近づけていくのが基本です。

そうした際には、ぺルソナな設定が有効に働きます。

商品によっては、住んでいる場所や休日の過ごし方など細かければ細かいほどの設定があることが最適です。

ペルソナ設定では、より細かい設定が可能になります。

そうすることで、複数の部署や複数の人での認識合わせが容易になり、大きな方向性のブレを防ぐことができます。

プロジェクトの効率が上がる

ペルソナ設定、ペルソナマーケティングを実施することでプロジェクトの方針決定が迅速かつ、的確に実施できます。それは、結果的に無駄な時間やコストを削減することにも繋がります。

細かい設定をしたペルソナ増により、ターゲット層が明確になりますのでプロジェクト自体の方向性のブレを抑制することにより短納期、コスト増加を下げることにも繋げることも可能になります。

大きなプロジェクトになればなるほど、関連する人も増え方向性のブレは大きなトラブルに繋がりかねません。こうした事を防ぐことが出来ることは、プロジェクト全体の効率化の大きな一手となります。

こうした背景を考慮すると、無駄なコストを省いていける可能性があることも理解頂けると思います。

ペルソナマーケティングのデメリット

ペルソナマーケティングのメリットをご説明します。

ペルソナ設定に起因する

文字通り、メリットの反対側としてペルソナの設定が異なれば方向性はプロジェクト全体の進む方向性が誤ってしまいます。

つまり、プロジェクトの完成が遠のく、端的にいえば失敗に繋がる可能性が大きくなります。

また、ニーズにあったサービスリリースは難しくなりますので、ペルソナ設定(ペルソナの定義)には十分な注意が必要になります。

また、ペルソナ設定が誤ってしまうと市場調査やアンケートなども情報も本来の目的とは違う方向に進んでしまいますので、全てをやり直しする事も発生する可能性があります。

ペルソナ放置による効果低下の発生

既にご紹介していますが、ペルソナ設定は市場の変化やトレンド、地域性などにより変化していくことを忘れないでください。

同じサービスが何年も引き続き同じニーズがあり続けるとは限りません。

ということは、どういうことだと思いますか?

答えは、定期的なペルソナ設定の見直しが必要ということです。

ペルソナは架空の人物ですが、生き物だと考えてください。定期的な見直しと必要に応じての再設定を行う様にしていきましょう。

どんな手法にもメリットやデメリットが存在します。

メリットばかりを見ていると足をすくわれてしまうことになりますが、デメリットをしっかりと理解しておくことで大きなトラブルになることを防ぐことも大事です。

デメリットは、あくまでも注意をしておけばトラブルを防ぐことができる注意ポイントですので、しっかりと理解してトラブルを回避していきましょう。

ペルソナ設定の重要性

既にご紹介している内容を含めて、ペルソナ設定の重要性と設定ポイントをご紹介していきましょう。

繰り返してお伝えしていますが、商品開発等には複数の人が関与して新しい商品、サービスを作り上げていきます。

何も基準を決めていないと、求めるものにはバラツキが生じます。「いいもの」という定義は、人それぞれの価値観により異なるからです。

その為、想定する利用者の設定にもバラツキが生じ最終系の方向性には差がでてきてしまいます。

その反面、ターゲットとする人が決まっていれば方向性の違いが出ることはありません。その為に行うことがペルソナ設定です。

これも繰り返しお伝えしている通りです。ポイントとなるのは、サービスを利用する人には傾向はあれど、1人ではないということです。

人物の設定を細かくすることでサービスや商品に求められるもの、期待するものを定義することが可能です。

ただし、サービスを展開する先は複数人であるかといって、1万人、2万人のペルソナ設定をして、1人1人の満足を追求することは難しいでしょう。

つまり、ペルソナ設定の大切さとは、代表的な利用者がどんな志向とするか、どういうサービスに繋がるかを明確にできる様にすることです。

ペルソナの設定とは、考えているサービスを利用する人を設定するのでなく、利用する人が喜ぶサービスとは何かを見つけていくためにあるのです。

ペルソナ設定のポイント10項目

ペルソナ設定の重要性などをご紹介してきました。

今度は、ペルソナ設定をする上で押さえておきたい10のポイント、ご紹介していきます。

ペルソナ設定で必要となる10個の観点だと理解して、今後のペルソナ設定を行ってください。

<ペルソナ設定ポイント10項目>

  1. 基本情報的内容(年齢、性別、居住地等)
  2. 職業や学歴(大学・学部、業種・役職、最終学歴)
  3. 生活スタイル(起床時間、通勤時間、勤務時間、就寝時間、外食派or自炊派、休日の過ごし方)
  4. 性格(価値観、物の考え方)、思考(困っていること、興味があること)
  5. 人間関係(恋人・配偶者・子供の有無、家族構成)
  6. 収入など金銭情報
  7. 趣味など(インドア派orアウトドア派や流行による興味等)
  8. インターネット利用状況(よく見るサイトや項目、利用時間や利用方法等)
  9. 所持しているデバイスや利用SNS
  10. 情報収集の志向(どんな情報を持つかや敏感化)

この10項目をペルソナ設定としては、定義をすることが適正なペルソナ設定と言われています。

特に①②③等は、人間の特性や基本情報として検討できる範囲で十分に検討して定義しておきましょう。

①の項目などは、大きなサービスの方向性を決める上では重要視される項目です。

男性や女性、年齢層などはサービスの方向性を大きく分ける要素です。

また、⑧⑨⑩などは、サービスを検索したり目に留まる上での重要なファクタです。同時に考えて頂きたいのは、サービスを利用する際にどんなペルソナ層に利用して欲しいかを定義することです。

サービスを使って頂く人は、従来のサービスを利用していない層を開拓したいのか、今と同じペルソナ層であるかなどです。

自分達の都合に合わせてペルソナ設定をしても意味がないということも理解しておくことが必要です。

ペルソナの設定手順

最後にご紹介したいのは、ペルソナ設定をする際の手順です。

ここまででご紹介した内容を元に、ペルソナを実際に設定していくことにしましょう。

データの活用(インタビュー/アンケートのデータを分析活用)

ペルソナ設定を行う場合には、ある程度のターゲット層は予め想定していることが多いのではないでしょうか。

でも、本当にそのターゲット層にサービスを展開する場合には、「インタビュー」「アンケート調査」を行うことで、具体的なニーズを調査することも必要です。

集まったデータやサービスを設定する際の志向などの情報を集め分析することで、より具体的なペルソナ設定に活用していきます。

既存のデータの活用

集める情報は決して、新規の顧客ばかりではありません。

既にサービスを利用している既存顧客の情報(データ)も活用することも大事です。

今のサービスに関する満足度やニーズ重要な情報です。既存の顧客にもインタビューやアンケート調査等を行い情報を集めたり、既存顧客のサービス利用傾向なども十分利用可能な情報です。

こうした情報を集めることで、ペルソナ設定の際には自社サービスを利用する顧客の傾向についても意識して設定することも1つの方法です。

アクセス解析

自社のWebサイトを利用している人のアクセス状況を分析することも重要な分析です。

既存顧客の状況などを踏まえ、Webサイトのアクセス解析を行うことも重要な手順です。アクセス解析には「Googleアナリティクス」などのサービスを利用することも有益です。

この様に、ペルソナ設定には、3つの観点での手順で情報を集めて活用することが必要です。

自社サービスを利用してもらうペルソナ設定においては、想定だけではなく裏付けとなる情報を活用することが大事だということを忘れず実施してください。

関連記事:Googleアナリティクスの登録・使い方完全マニュアル

まとめ:ペルソナを正しく設定することはビジネス成功の近道

今回はペルソナをキーワードにペルソナ設定についてご紹介してきました。

ペルソナ設定とは、様々な業種、業界のサービスに利用できる、利用できるべき指標です。

心理学から発生した観点ではありますが、現在の商品、サービス開発においては必須の項目であるがゆえに重要な項目として理解して頂き、大いに役立ててください。

ペルソナ設定には十分な時間を掛け、且つ、商品、サービス構築に関わる複数の人と共有し方向性の違いが起きない様にしておくことも大事です。こうする事で、ビジネスの成功に向けた道を構築してください。