【インハウスデザイナー】転職を成功させるために知っておきたいこと【未経験者についても解説】

もっと収入を増やしたい、もっと待遇を良くしたいなど、転職にはさまざまな理由があります。では、デザイナーがこういった目的で転職を目指し、成功させるにはどのようなことに気をつければいいのでしょうか。また、デザイナー未経験者が転職してデザイナーになることは可能なのでしょうか。転職を希望するデザイナーが知っておきたいことや、転職活動時に使いたいサービスについて紹介します。

転職前に知っておきたいデザイナーの有効求人倍率や年収など

デザイナーの有効求人倍率は0.5前後

転職活動を始める前に、デザイナーを取り巻く雇用環境について知っておきましょう。まずは、有効求人倍率です。

有効求人倍率とは、有効求人数を有効求職者数で割ったものです。ごく簡単に言えば、求人数が多く求職者数が少なければ有効求人倍率は高くなり、採用されやすくなります。反対に求人数が少なく求職者数が多ければ有効求人倍率は低くなり、採用されにくくなります。

厚生労働省が発表した一般職業紹介状況(平成30年7月)によると、美術家・デザイナー等の有効求人倍率はパートを含めた場合で0.54倍、パートを含めない場合で0.47倍です。

つまり、求職者約2人に対して1件しか求人がない、だいたい2人に1人しか採用されないということになります。

比較として、全体の有効求人倍率を見てみましょう。全体の有効求人倍率はパートを含めた場合で1.63倍、パートを含めない場合で1.50倍です。これは、求職者1人に対して1~2件の求人があることを意味しています。

ちなみに、リーマンショックを受けて採用が落ち込んだ平成21年度の有効求人倍率は0.45倍でした。美術家・デザイナー等の求人はこの時期に匹敵する厳しさであると考えていいでしょう。

デザイナーの平均的な年収は?

転職前に、デザイナーの平均的な年収についても見ておきましょう。

平成29年度の「賃金構造基本統計調査 」によると、デザイナーの平均的な年収は400~500万円前後で、年齢、性別、企業の規模などによってばらつきがあります。

また、転職エージェントのdoda転職エージェントが登録者を対象に行った「平均年収ランキング2017」では、グラフィックデザイナーは年収332万円、プロダクトデザイナーは年収465万円と同じデザイナー職でも大きな差があることが見て取れます。

これらの数字も参考に、自分の今の収入が適正かを考えるといいでしょう。

なお、デザイナーの年収について詳しくは別ページにまとめています。そちらもぜひ参考にしてください。

制作会社のデザイナーかインハウスデザイナーか

デザイナーが属する企業についても確認しておきましょう。

デザイナーが属する企業は、制作会社と制作会社以外の一般企業に分けられます。特に後者の一般企業に属するデザイナーを「インハウスデザイナー」「社内デザイナー」と呼びます。

インハウスデザイナーは、その企業の製品や宣材などのデザインを行います。勤務時間や条件は非デザイン職である一般社員と同じように扱われるため比較的安定してます。

大規模な企業のインハウスデザイナーになれば、福利厚生もしっかりしていて働きやすい環境が整っていると言えるでしょう。

ただし、中小企業のインハウスデザイナーの場合はクリエイティブ職が自分しかいないこともあり、「デザイン」と名のつく業務をすべて1人で引き受けなければいけないようなケースもあります。

一方、デザイン事務所やゲーム制作会社、WEB制作会社などの制作会社に勤めるデザイナーの場合は、クライアントの納期優先で仕事を行います。そのため、納品日が近づくと勤務時間が不安定になりがちです。

会社自体の規模もあまり大きくないケースが多いため、福利厚生面でも不安を感じるかもしれません。しかし、周囲にはクリエイティブ職が多いため仕事上の相談もしやすく、スキルアップのモチベーションも持ちやすい環境です。

この違いを理解した上で、自分は何を優先させて転職先を探すのか、どんな働き方をこれからしていきたいのかなどを考えておきましょう。

デザイナーの転職にはポートフォリオ作成が不可欠


転職活動する際には一般的に履歴書と職務経歴書を用意しますが、デザイナーの場合もうひとつ用意すべきものがあります。それはポートフォリオです。

ポートフォリオはその人の作品を集めたもので、デザイナーの面接時には提出を求められることがほとんどです。印刷した紙のものはもちろんですが、データ化したものがあると役立つ場合もあるのでデータ化したポートフォリオも作っておきましょう。

ポートフォリオの作り方のポイント5つ

ポートフォリオの作り方は自由です。自分らしく作るのはいいのですが、そうなるとかえって作り方がわからなくなってしまうことも多いでしょう。そこで、一般的にポートフォリオを作る際にポイントとされることを5つご紹介します。

1.書式

基本的にポートフォリオには決まった書式はありません。しかし企業によっては、ポートフォリオの書式を指定している場合があります。応募・面接の前には確認をしておきましょう。

2.相手に合わせた作品選び

ポートフォリオに掲載する作品は、採用面接を受ける企業に合ったものを中心に選びましょう。相手の企業をきちんと研究し、どんなデザインが求められているのか、どんな作品で何をアピールすればいいのかを考えてください。

3.短時間で見られるボリューム

自信がある作品を中心に、5分程度で見られるようなボリュームで作成するのがおすすめです。10作品程度にとどめておくといいでしょう。

4.ディスクリプション(作品解説)

それぞれの作品はディスクリプションをつけましょう。主に書くべきことは、クライアント名、制作年、制作の目的、制作の意図、作業環境、制作にかかった時間、グループで制作した場合は自分の担当した部分などです。

5.自己紹介ページ

ポートフォリオは単なる作品集ではなく、面接を受けるために必要なツールです。自己紹介ページも作り、自分の経歴やスキル、得意なデザイン、これからどんな仕事をしていきたいかなどもアピールしておきましょう。

ポートフォリオサイトを手軽に作るWEBサービス2つ

ポートフォリオは紙で作っておくだけでなく、WEB上にサイトとして作っておくことをおすすめします。

ポートフォリオサイトを作っておくと紙のポートフォリオに盛り込めなかった作品も見せることができる上に、面接前にあらかじめ相手にURLを伝え見てもらうこともできるからです。

ポートフォリオサイト作成が簡単にできるサービスもありますので、ぜひ活用してみてください。

なお、ポートフォリオサイトを作成する際には著作権に配慮が必要です。

たとえば、会社のプロジェクトで制作した作品の著作権は会社に属しているため、個人が勝手にWEBに上げることはできません。必ず許可を取るようにしてください。

Portfoliobox


世界中に55万人のユーザーがいる、ポートフォリオサイト作成の定番サービスです。ギャラリー機能だけでなくブログ機能、Eコマース機能も利用することができます。独自ドメインが使える有料版(支払いは米ドル)もありますが、特に独自ドメインが必要でない場合は無料版で十分です。

salon.io


ドラッグ&ドロップだけでポートフォリオサイトが作るサービスです。無料プランでも3ページ、画像150枚まで登録することができます。独自ドメインが使える有料プラン(支払いはユーロ)は3プランあり、自分の使い方に合わせて選ぶことができます。

未経験者からデザイナーへの転職は可能か


本業はデザイナーではないけれども、趣味や副業でデザインの仕事をしているのでそれを本業にしたい。デザイナーへの転職を目指す人の中には、このような未経験者もいます。

未経験からデザイナーへの転職を目指す場合は、難易度が上がります。

デザイナーを中途採用している企業は即戦力となる人材を求めていることが多く、仕事の実績がほとんどない人を選ぶ可能性はあまり高くないためです。

未経験者がデザイナーへの転職を目指す場合も、まずはポートフォリオ作りが重要なポイントになります。

仕事としての実績がない場合であっても、ポートフォリオで自分がどんなデザインをできるのか、どんな作品が作るのかを示すことで熱意やセンスを相手に伝えることができます。

趣味で作った作品でも構わないので、きちんと作品を作ってポートフォリオにまとめておきましょう。

副業でデザインの仕事をした経験があるのであれば、それもきちんと仕事の実績としてアピールできます。可能であれば、副業でデザインの仕事を始めて実績を積み上げていくことをおすすめします。

デザインの勉強をしたことがない場合は、スクールなどでデザインについての勉強もしておきましょう。

また、デザイナーの種類によっては未経験者可の求人があるケースがあります。

一度「グラフィックデザイナー」や「WEBデザイナー」など自分がなりたいデザイナー職について求人サイトなどで検索をかけてみて、未経験者からでも挑戦がしやすいかどうかを確認してみてください。

もし未経験者可の求人が多いようであれば、未経験者からデザイナーになれる可能性は高くなります。

転職を目指すデザイナーにおすすめのサイトやサービス


転職活動を行う際には、求人サイトや転職サービスを活用することが不可欠です。

求人サイトの中には、デザイナーなどのクリエイティブ職に特化したものもあります。

求人情報だけでなく転職エージェントが転職活動にかかわるサポートをしてくれる転職サービスもぜひ活用をしてみてください。今後のキャリア形成や履歴書の書き方、面接対策などにまで相談でき、アドバイスを受けることができるので、転職活動をより有利に進めることができます。

デザイナーの転職におすすめの求人サービス7選

リクルートエージェント

「リクルートエージェント」は、リクルートが運営するIT特化型転職エージェントです。

「IT特化型?」「デザイナーの転職にITが関係あるの?」と思われたかもしれませんが、コーディングやプログラミングのスキルはデザイナーにとって年々重要度を増してきています。

また、成長を続けているIT企業の中には、BtoBとBtoC の両面においてデザインを重視しているところも多く、優秀なデザイナーを自社で抱えるために求人に力を入れているケースもあります。業界大手で案件数が豊富なリクルートエージェントなら、あなたの経験やスキルが活かせる求人が見つかりますよ。

マイナビIT AGENT

「マイナビエージェント IT」はIT業界の求人に特化した転職エージェントで、クリエイティブ系の仕事を多数保有しています。

条件があまり良くないことが多いデザイナーの仕事も、大手のマイナビ経由ということもあり好条件の求人が多いです。

応募から面接までアドバイザーが、全てをサポートしてくれます。

CREATIVE VILLAGE


クリエイターエージェンシーのクリーク・アンド・リバー社が運営しているクリエイターのための総合情報サイトです。

WEB業界、ゲーム業界、広告・出版業界の求人情報のほかスキルアップのためのコラムやセミナーの案内なども掲載されています。転職だけでなくスキルアップを考えているデザイナー、クリエイターにとっても役立つ内容です。

Green

公式サイト:https://www.green-japan.com/
IT・WEB業界のエンジニア、デザイナーなどの求人を主に掲載している求人サイトです。

WEBデザイナー、UI/UXデザイナー、WEB系のグラフィックデザイナーなど、WEB関連のデザイナーに転職を希望している人はチェックしてみることをおすすめします。

MOREWROKS


公式サイト:https://www.moreworks.jp/
デジタル系のクリエイティブ職に特化した求人サイトです。

WEBデザインやUIデザインのほか、グラフィックデザイナー、CGデザイナーなどの求人もあります。サイトにはプロフィールやポートフォリオ、スキルを登録することもでき、それを見た企業からのスカウトが届くこともあります。

マイナビクリエイター


公式サイト:https://mynavi-creator.jp/
マイナビグループの、Web・ゲーム関連職の転職支援サービスを専門に行っているサイトです。

WEBデザイナーやゲーム関連のデザイナーに転職したい人におすすめです。セミナーの情報も多くクリエイターの転職に関するコラムも頻繁に更新されており、デザイナーの転職について情報を得たいときも役立ちます。

サイト内にポートフォリオを作成できるサービスもあって便利です。

Wantedly


ビジネスSNSで、クリエイターやIT関連の職種についての求人情報が多く掲載されています。

求人情報とはいえ具体的な給与等の条件は掲載されていないことも多いため、まずいろんな企業の雰囲気やどんな仕事が求められているかなどを知ることを優先させ、興味があったら企業とコンタクトを取り条件を確認するという方法で利用するといいでしょう。

まとめ

デザイナーの転職は、一般的なほかの職種と比べるとやや厳しい状況にあります。その状況を乗り切るために必要なのは、まずは自分の実績をアピールできるポートフォリオの作成です。ポイントをおさえて実績が伝わりやすいポートフォリオを作りましょう。未経験や経験が浅く紹介できる作品がほとんどない場合は、副業で実績を積むなどしておくといいでしょう。クリエイターに特化した求人サイトや転職支援サイトを活用して、自分に合った職場への転職を目指しましょう。