Web広告でサイト集客する場合、よく使う指標としてCTRがあります。
Webマーケターにとってはおなじみの指標ですが、意外とその使い方を間違えていたり、誤った捉え方をしている方も多い指標です。
今回はそんなCTRについて、定義から計算方法、改善方法を紹介します。
なかなかわからない各媒体毎の参考CTRについてもお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。
CTRとは
まず、そもそもCTRとは何なのかから、ひも解いてみましょう。
CTRの定義
CTR(Click Through Rate)、すなわちクリック率とは、Web広告やWebサイトのリンクが表示された際にクリックされた割合のことを指します。
Web広告であれば、
- 広告がきちんとターゲット設定された相手に届いたのか
- あるいはそのターゲット設定はまちがっていないか
- 広告にどのくらい興味を持ったのか
などを測る指標となっています。
Webサイトやメールマガジンのリンクであれば、次のページへ遷移するためのリンクを押した数なので、
LPやメールマガジンの文章が次のページやWebコンテンツに遷移するためにきちんと機能しているかやバナーがわかりやすく、押しやすく、次のページへ遷移を誘発できているか、などを判断する指標として使われます。
単純にCTRといっても、このようにさまざまな捉え方ができ、Webマーケティングを進めていくための重要な要素として位置付けられます。
CTRの計算方法
では、CTRの計算方法を確認してみましょう。
広告の場合
広告の場合のCTRの算出方法は、以下の通りとなります。
前述の通り、表示回数に対するクリックの数なので、広告に対する反応を見ることができるものですが、Web広告は単純にCTRだけで評価できるものではないので注意しましょう。
例えば下記①と②は、どちらが広告としての効果が高いのでしょうか。
②imp=500,000回 click=100回 CTR=0.02%
答えは一概に言えないのです。この広告の目的がサイトへの誘導であれば①でしょうが、認知目的であれば②のほうが表示回数が多いので②が良いとも言えます。
よって、「広告におけるCTRは重要指標ながら、施策によってはその高低だけで評価できるものではない」ということを理解しておきましょう。
Webサイトの場合
次にWebサイトの場合を見てみましょう。
WebサイトにおけるCTRは、Webページ内のバナー位置や目立たなかったりするとCTRは落ちますので、単純にバナーの力の評価ができるという指標であると言えます。
コンテンツ自体に魅力がないとクリックされないということがあるので、コンテンツの評価における参考指標とも言えます。
メールマガジンにおけるCTRも同様のことが言えます。
なお、いずれの場合も、PVやメール開封数がそもそも少ない場合はCTRが高くてもKPIの達成に寄与しないということもありますので、重要指標ですが他の指標も併せて判断する必要があることを覚えておきましょう。
VCTRとは
近年、ビューアブルインプレッション、広告がすなわちユーザーが閲覧できる位置に表示された表示回数が重要視されるようになっていますが、ビューアブルインプレッションをCTRの算出に使ったものをVCTR(Visible Click Through Rate)といいます。計算式は以下の通りとなります。
通常のインプレッションよりも数はビューアブルインプレッションのほうが少なくなるので、単純にCTRよりもVCTRが高いという結果になります。
ある広告主のGoogle広告(GDN)の数字では
VCTR=1.41%
と 2.2倍の差があります。
評価においてはCTRとVCTRを混同して評価すると当然混乱しますので、CTRの評価はどちらかに絞って指標をみていくようにしましょう。
なお、媒体によってビューアブルインプレッションが出るものと出ないものがあります。
ビューアブルインプレッションが出る媒体としては,Yahoo!広告(ディスプレイ広告)、Google広告、Facebook広告(Facebook広告のインプレッションはそもそもビューアブルなものが計測される)などがあります。
DSPでは指標として出ないものもありますので注意しましょう。
各媒体におけるCTR
各広告媒体におけるCTRはどのくらいなのでしょうか。
CTRはクリエイティブやターゲティングに大きく左右されるのであくまで参考値でしかありませんが、公表されているアメリカにおけるCTRを参考にしながら、各媒体のCTRを見てみましょう。
各指標は米AdStage社 「Paid Media Q1 2020 Benchmark Report 」から引用します。
Facebook広告(feed)
CTR・・・1.11%
Facebook広告のフィード面に出てくる広告は画面に対する広告の占有率が高く、大きく表示されます。
またターゲティング精度も高いので、Facebook広告は、一般的に通常のバナー広告よりCTRが高い傾向にあります。
アメリカにおいては1.11%となっていますが、日本も同様ぐらいと捉えていいでしょう。
なお、誤ったクリックも多いので、ランディングページをきちんと読んでいるかどうかまで見るようにしましょう。
Instagram広告(feed)
CTR・・・0.22%
Instagram広告のCTR0.22%も、日本のそれとあまり乖離があるものではありません。
Instagram広告は、画面に対する広告の占有率がFacebook同様に高いものの、あくまで画像がメインのSNSのため、広告に対するCTRはFacebook面での広告より低い傾向にあります。
CTRをあげようとすると、配信ターゲットの選定とクリエイティブに対するよりいっそうの工夫が重要となってきます。
Facebook広告(Audiencenetwork)
CTR・・・0.69%
Facebook広告のオーディエンスネットワーク面は、いわゆるアプリ面での配信です。Facebookユーザーはもちろん、Facebookユーザーのcookie情報をもとに、非Facebookユーザーにも配信されるものなので、フィード面の配信よりターゲティングの精度が落ちます。
加えて通常のバナーサイズやインフィード広告のように、画面に対する広告の占有率は小さいので、CTRはフィード面の広告より落ちる傾向にあります。日本も同程度のCTRと捉えて良いでしょう。
Twitter広告
CTR・・・0.86%
Twitter広告はFacebookやInstagram同様、タイムライン上に表示される広告ですが、画面に対する広告の占有率があまり高いわけではありません。
また、ターゲティングの精度もそこまで高いわけではないので、Facebook広告によりはCTRは落ちる傾向にあります。
ただし、Twitterならではのコミュニケーションにうまくハマるとリツイートもされ、認知効果が抜群である広告なので、一概にCTRだけで判断できるものではありません。
Google広告(検索)
CTR・・・1.55%
Google広告(検索)、いわゆるリスティング広告は、ユーザーが自らキーワードを検索して情報収集をしている”熱い”状態で広告に接触するので、CTRは高い傾向にあります。
こちらも商品・サービスを指名するキーワードでのCTRと一般的な検索キーワードに対するCTRとで大きく数字が異なってくるので、一概に平均CTRで判断するのはおすすめできません。
なお、日本においても指名キーワードであれば5~10%程度、商材の一般名称などのキーワードであれば0.2%~0.8%程度と差は大きく開きます。
Google広告(ディスプレイ)
CTR・・・0.47%
Google広告(ディスプレイ)、いわゆるGDNはWebページのバナー広告です。
画面に対する広告の占有率も低く(占有率が高くてもユーザーが不快に感じる)、ターゲティング精度もcookieベースなのでCTRはそこまで高くなりません。
アメリカにおけるこのCTRもリマーケティング (サイト来訪者に対する再訴求)も含んでの数字となっています。日本においても同様の数字程度となります。
リスティング広告のCTRの想定方法
なお、Googleのリスティング広告においては、Google広告の管理画面上の「キーワードプランナー」を使うと、直近のキーワード毎の競合性やCPCだけでなく、予測値としてCTRなども算出することができます。
過去 7~10 日間のデータを基に、季節ごとの要因を考慮して毎日更新されているので、広告出稿前にどのくらいのCTRが見込めるのか事前シミュレーションができるので便利です。
CTRの改善方法
最後にCTRの改善方法についてチェックしましょう。
広告
Web広告におけるCTRの改善方法は以下の3点となります。
①配信ターゲットの改善
例えば極端な例ですが、20代までの若い女性向けコスメを訴求したバナーを、釣りに興味のある50代男性をターゲットに配信したところで、反応は見込めないでしょう。
CTRが想定よりも低い場合、
- 配信ターゲットがそもそもずれていたり
- 配信ターゲットが広すぎたりする
といった要因が考えられます。
また、逆に想定しているターゲットが商品・サービスの購入検討層とそもそも合っていない、ということも考えられますので、実際の購入客層のペルソナを意識しながらターゲットの見直しを行いましょう。
②クリエイティブの改善
例えば、きれいな写真が並ぶInstagramフィードに、スーパーの安売りチラシのような画像を載せてもユーザーには忌避されます(それどころか配信を拒否されて広告の評価が下がり、最悪の場合impが止まることもあります)。
配信される面のトーンや商材のブランドイメージを意識しながら、ユーザーの反応が高まるクリエイティブを配信するようにしましょう。
改善施策としてはA/Bテストが一番有効かつ手軽に実施できます。
③訴求内容(広告施策)の改善
配信ターゲットやクリエイティブをいくら改善したところで、ユーザーにとって全くメリットがない、メリットを感じられない広告施策では広告に対する反応は見込めません。
そもそもその広告施策が有効なのかもCTRを改善する視点としては重要です。
検索エンジンでのオーガニック検索結果
検索エンジンにおけるオーガニックの検索結果、すなわちSEO上でもCTRは重要な指標です。
検索されたときに上位表示されても、そもそもクリックされなければ意味がありません。
ここの改善ポイントをお伝えします。ポイントはページのタイトルとディスクリプション(紹介文)です。
タイトルについては、言うまでもなくユーザーのクリックポイントであり、SEOにおける最重要項目です。
- 何文字が最適
- 重要キーワードをいくつ入れたほうがいい
などといった単純な話ではなく、まずはきちんと検索ユーザーのニーズに応えるタイトルをつけるほうが重要です。
ディスクリプションについても同様で、タイトルの内容を深堀し、ページの内容を端的に紹介する文章を作ることがCTRをあげるポイントです。
タイトル周りに気を取られてしまい、ディスクリプションがなおざりになっているページもよくありますが、ユーザーにとってはディスクリプションはページに自分が欲しい情報が載っているか判断する重要ポイントなので、おろそかにしないようにしましょう。
Webサイト内のバナー
Webサイト内での次のページに遷移させるためのバナーについては、以下3つの改善ポイントがあります。
①バナー自体のクリエイティブ
テキストリンクで済ませていたり、バナーの大きさも小さいと、当然クリックはされずCTRは落ちます。
- テキストのリンクをバナーに変えてみる
- バナー自体の色や大きさ
- コピーの変更
でCTRが上がることが期待できます。
こちらもABテストでさまざまなクリエイティブを試してみると改善に繋がるでしょう。
②バナーの表示位置
そもそもWebページは上から下にかけて閲読率が落ちます。
ページの下部は見るユーザーが少ないので、そこに設置してあるバナーもCTRが落ちます。
次のページがKPI達成に向けた重要なページであれば、バナーの表示位置も工夫する必要があります。
なお、クリックさせたいからといってポップアップで大きく表示させるなどすると、今度はユーザービリティが落ちますので注意が必要です。
③ページの内容
そもそもページの内容が魅力的でなければそこでユーザーは離脱します。
①②も重要ですが、なによりページの内容をより魅力的に見せる、ということも必要です。離脱率や直帰率なども見ながらCTRはなぜ悪いのか、考える必要があります。
CTRを含めた多面的な判断でWebマーケティングを成功へと導く
今回はCTRについて基本的な知識や媒体ごとの参考指標、その改善方法などをお伝えしました。
Webマーケティングをやっている人間にとって、CTRは当たり前すぎる指標ではある一方、意外と多面的に捉えることを忘れてしまう人も多いものです。
CTRだけで判断すると、施策の方向性を間違えることありますので、ぜひCTRも参考にしながら、さまざまな指標を参考にし施策の改善を図ってみてください。