1/250、F8、ISO200。
この一見すると難解な呪文を解読することで、あなたの写真は一段階進化することでしょう。
今回は、カメラ設定の基本である「シャッタースピード」「絞り」「ISO感度」について紹介します。
これを機に解読方法を習得し、カメラに囚われない自由な撮影に挑戦してみましょう!
シャッタースピード・絞り・ISO感度をざっくり表すと・・
これはシャッタースピードと絞りとISOの関係性を端的に表したものです。ネット上でこのような図を見たことがある方もいるかも知れません。
簡単に説明するとシャッタースピードはその名の通り、シャッターを開けている時間を表します。開いている時間が長いほど動きのある写真が撮れます。
絞りはピントの合う範囲に影響し、絞りの数値が高いほど手前から奥までピントの合った写真が撮れます。反対に絞りの数値を低くすればするほど背景をぼかせます。
ISO感度は画質に関係し、数値が100~200程度のときに高画質でノイズが少なく、3200~6400以上の場合にノイズの多い写真になります(カメラの機種によってこの数値は変わってきますが、数値が高いほどノイズが増えると覚えておいて下さい)。
シャッタースピードとは?
シャッタースピードはシャッターが開いている時間、言い換えればレンズが光を通す時間を表します。上図はシャッタースピードが高速になればなるほど被写体が止まって見え、低速になるほど動いて見えることを表しています。
写真を撮るだけなんだから遅かろうが速かろうが関係ないのでは?と思うかも知れませんが、撮りたいものによって非常に重要な要素となります。
というのもシャッターを開いている間は光を取り込み続けて動いたものを記録するため、動きのある写真を撮りたい場合にはシャッタースピードを低く設定する必要があります。
以下はシャッタースピードが速い場合と遅い場合の実験です。画面右側から左側へ赤ペンが移動している様子を撮影したとき、どうシャッタースピードの変化によってどういう変化が起きるか見ていてください。
シャッタースピードが速い場合
(シャッタースピード1/40秒)
こちらの写真は瞬間を止めた場合です。実際は揺らしているのですが、ペンは完全に静止しているように見えます。
シャッタースピードが遅い場合
(シャッタースピード4秒)
こちらはシャッタースピードを遅く設定した場合です。右から左へと動くペンの軌跡が記録されています。
以上のことから分かるように、シャッタースピードはシャッターが開いている間の光を取り込み動いたものを記録します。つまり、シャッターが開いている間に被写体が動いた場合、その軌跡が写真に反映されます。
ここではシャッタースピードは、瞬間を撮影したい場合には速く、動きを撮影したい場合には遅くする、と覚えておいて下さい。
絞り(F値)とは?
絞りはレンズが光を通す量を調節し、ピントの合う範囲に関係します。上図の”絞り”は右に行くほど背景がボケて見え、左へ行くほど背景がはっきり写っていることが分かります。また下段の”絞りの形”は絞りの数値による絞り羽根の形の変化を表しています。
絞りの数値が小さいほど、取り込む光の量は多く、ピントの合う範囲は狭く背景はボケます。反対に絞りの数値が大きいほど、取り込む光の量は少なく、ピントの合う範囲が広く背景までボケのない写真が撮れます。
絞りの形が開ききった状態のことを開放といい、このとき一度のシャッターで取り込める光の量が最大になります。
撮影の中で実際に絞りはどのように影響するのでしょうか?それを分かりやすく説明するために次のような方法で撮影してみました。
右側にカメラを固定し、左側にはピント位置となる”人間”とその背景となる花と木があります。絞りの数値を変えることでこれらにどのような変化が起きるでしょうか?実際に見ていきましょう。
絞りの数値が低い場合
(絞りF4.5)
手前の人にだけピントが合い、背景の木はボケていることがわかります。すぐ後ろにある花にさえもピントが全く合っていないことが分かります。木にピントを合わせた場合は同様に手前にいる人にはピントが合いません。
絞りの数値が高い場合
(絞りF29)
手前の人から背景の木まで全てにほぼピントが合っています。
以上のことから分かるように絞りはピントが合う範囲を決定します。絞りについては、背景をぼかしたい場合は絞りの数値を小さく、背景をぼかしたくない場合には絞りの数値を大きくすると覚えておいて下さい。
ボケ具合について
レンズの焦点距離と前景と背景の距離によって背景のボケ具合は変わってきますが、同じ絞りの値でも広角であればあるほど背景のボケ具合は少なくなりますし、望遠であればいくら絞りの数値を上げても背景までピントが合いにくくなります。
なお、前景と背景との距離が離れるほど、背景はボケやすくなります。
ISO感度とは?
ISO感度は画質(厳密には明るさにも)に関係します。上図では右に行くほどノイズが増えていることが分かります。
ISO感度が低い(低感度)ほどノイズが少なくなり、ISO感度が高い(高感度)ほどノイズは多くなります。カメラのスペックによっても変化しますが、ISO感度は100~200がもっともノイズが少なく、1600~3200程度でノイズが目に見えて増えてきます。
今回はあまり深く説明しませんが、一定のシャッタースピードと絞りで撮影する場合、ISO感度を上げてやるとノイズは増えますが写真が明るく写ります。
いつ使うのか?
画質が悪くなるのなら感度は低いままがいいのでは?と思われるかも知れませんが、まさにその通りです。高感度でのザラつきを意図しない限り、もっとも画質のいい低感度域で撮影したいところですが、夜間など暗い場所での撮影ではいくらシャッタースピードと絞りで明るさを稼いでも足りなかったり、三脚などカメラを固定できる機材がないとブレるという問題があります。
被写体が人物ならストロボを使うという手もありますが、風景だとそれが出来ないことが多いでしょう。以下をご覧ください。
ISO感度が低い場合
(シャッタースピード2.5秒、絞りF4.2、ISO感度100)
シャッタースピードと絞りで明るさを稼いでいますが、実際に撮影する場合には2.5秒間のシャッターは手ブレが激しく、三脚が無いと撮影できない暗さです。
ISO感度が高い場合
(シャッタースピード1/100、絞りF4.2、ISO感度25600)
シャッタースピードが手ブレしない速度に落ち着きました。これなら問題なく撮影できそうです。ただし、先ほどの写真と比較してザラつきが多い点に注目してください。
低感度と高感度での画質を比較します。この2枚の同じ箇所を拡大してみると明らかに高感度の方がザラついている事がわかるはずです。
このようにISO感度は高感度に設定するほどノイズが多く発生します。暗い場所で手ブレしてしまう場合や、余程速いシャッタースピードを必要とするとき以外はISO感度を極力低く(100~200)設定しておきましょう(※カメラによってはiso100未満の低感度に設定できることがありますが、低感度すぎると画質が低下することがあります)。
さて、ISO感度を変えるだけでシャッタースピードは劇的に変化します。シャッタースピードと絞りで明るさを調節し、足りないようならISO感度で明るさを稼ぐ、ということを覚えておいて下さい。
ISO感度とシャッタースピードの関係
絞り固定でシャッタースピード1/10、iso感度100のとき、iso感度を200(2倍)にするとシャッタースピードは1/20(2倍の速さ)になります。絞りが固定ならシャッタースピードとiso感度は比例する、と覚えておいてください。
ISO感度の設定
iso感度は自分で自由に決めることもできますし、明るさに応じてカメラが自動で決める設定もあります。「iso – AUTO」と表示されて自由に選択できない場合はカメラの設定を変更しましょう。
まとめ
シャッタースピードは遅くするほど、明るく軌跡など動きのある写真が撮影でき、速くするほど瞬間を止めた写真が撮れます。
絞りは数値が低い(開放)ほど明るく背景のボケた写真が撮影でき、数値が高い(絞る)ほど背景までピントの合った写真が撮れます。
ISO感度は画質を左右し、低いほどノイズが少なく、高いほどノイズが多く発生します。
それぞれの数値の意味は理解できたでしょうか?頭では理解できても実践ではなかなか分かりにくいことも多いかと思います。カメラの設定をどんどん変えて色々な撮影を試してみてください!
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