広告やバナーを製作する際、大切なのが読み手に「インパクト」を与えること。どうやったら目を引く広告がデザインできるのか・・。そう悩むデザイナーの方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、Illustratorの基本操作だけでできる、簡単な表現技術をいくつかご紹介します。
枠からはみ出す
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こちらはとてもシンプルにインパクトがだせる方法。広告サイズが決まっていると、「この枠の中に情報を収めなければ」と考えがちですが、きちんと可読性さえ残しておけば、すべてを枠の中に収める必要はありません。広告枠からどーんとはみ出せば、広告全体に勢いをつけることができます。
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こちらのルーツの広告もそうですね。街にある広告などをよく見て回ってみると、「枠をはみ出す」という効果は以外と使われています。今回ご紹介する広告のいくつかにも適用されているので、ぜひご覧になってみてください。
やり方は簡単。単純に文字や図形を大きくするだけ。枠からはみ出すことで、「おや?」という違和感を読み手に与え、印象を残すことができるのです。
ギリギリにしてみる
画像商品リンク:十六茶
文字は「中央に配置すること」「余白を均等に設けること」が基本。ですが、きちんと「読ませる効果」として使うなら、このように広告スペースのギリギリ隅に配置するのもひとつの手段です。
この広告の場合は、恐らく「キャッチコピーと商品のスペースは最下部」「人物を中央」「ロゴは左上」「台詞は右上」というルールを最初に設けているのだと思います。「どこになにを配置するか」のルールをしっかり決めておけば、その中で過度な表現をしても全体のバランスをしっかりと保つことができます。
本来のサイズ感を覆す
画像商品リンク:ソイカラ
本来あるべきサイズを、思いっきり崩してみる方法です。この広告を例にすると、顔と体のバランスをあえて変えることで、「え!?」というインパクトを読み手に与えることができます。
この効果は、Illustratorのクリッピングマスク機能で簡単につくることができます。やり方はとても簡単。
いらすとやさんの素材をつかって説明してみますね。
STEP1.対象の画像をコピペする
この男の子の顔を大きくしてインパクトを出す場合、まず「コピー(command+C)」+「ペースト(command+V)」で対象を2つつくります。はい、同じサイズの画像が2つになりました。
STEP2.パーツごとにパスをつくる
ペンツールをつかって「顔」と「体」に合わせたパスをつくり、(わかりやすく緑色にしています)
「クリッピングマスク(command+7)」。「顔」と「体」だけのパーツができれば、準備完了です。
STEP3.組み合わせる
あとは体を小さく縮小、顔を大きく拡大し、二つをうまくつなぎあわせるだけ!回転ツールなどをつかってバランスを整えてください。
もうひとつ画像をコピー&ペーストして、手部分のクリッピングマスクをつくれば、「顔と手が大きな男の子」の完成です。イラストなので分かりづらいかもしれませんが、元の絵の印象とかなり違うのが伝わるでしょうか。
この機能を人物写真などで試した場合、本来はあり得ないバランスになっていることで読み手に「驚き」を与えることができます。
メインビジュアル以外白黒にしてみる
画像商品リンク:キリン広告ギャラリー
この広告、どこか印象に残りませんか?モデルさんの美しさや切り抜き、配置の効果もありますが、「広告商品」であるビールグラスだけがリアルカラーで表現されています。
Photoshopでも簡単にできますが、もしIllustratorだけでチャレンジするなら、白黒にしたいオブジェクトを選択し、「編集」→「カラーを編集」→「グレースケールに変換」で白黒に変換が可能です。(※画像のズレに注意、画像を複数使うと、データ容量が重くなる場合もあります)
顔だけ白黒にした場合。不自然なので、「絆創膏」だけ目出せたいことにしてみましょう。
「絆創膏だけ」のパーツをもうひとつつくれば、このように絆創膏部分のみを強調することができます。
「あれ、なんでこれだけ色が違うんだろう」という違和感によって、読み手の記憶に残すことができます。
文字を立体的にしてみる
画像リンク:DHC
文字に立体感をだして目立たせる方法です。この画像のような表現は、女性向け雑誌などでも多く使われている効果ですね。
これもやり方は簡単です。「creive」を立体的に見せてみましょう。
まったく同じサイズの文字組みをコピー&ペーストして合計で3つ、つくってください。
そして、「最前面」の文字には線設定なし、「背面」「最背面」の文字に線を設定します。(今回は「背面」部分に4pt、「最背面」部分に8ptの線を設定してみました。)
「最前面」と「背面」を「整列」にある「水平方向中央に整列」「垂直方向中央に整列」で同位置に設定。「背面」の線部分がはみ出してみえますね。「最背面」は一旦、分かりやすいように色を変更します。
「整列」はこのウインドウか、分からなければ「ウインドウ」から見つけてください。
影の部分となる「最背面」は、「整列」させず、元の文字とすこしずらした位置に持っていきましょう。ずらし方はお好みで調整してください。
「ここだ!」という場所に置き、色の設定を黒に合わせると…いい感じに立体的になりました。
シャドウ効果も
「効果」→「スタイライズ」→「ドロップシャドウ」という効果を使えば、ぼかしたようなシャドウをつけることができます。広告全体のイメージに合わせて、どちらか好きな方を使ってみましょう。
描画モードを乗算にするのが一般的には多いと思います。
文字に模様をつける
最前面の文字を選択し、「アウトライン化(command+o)」すると、文字が図形になります。
さらに「パスファインダー」にある「形状モード」の「合体」を使えば、すべての文字をひとつのオブジェクトにすることができます。
模様に使いたい画像をそのオブジェクトの背面に配置し…
「クリッピングマスク」をすることで、簡単に文字に模様をプラスすることができます。
画像商品リンク:クリアアサヒ
こちらも、文字に「ゴールド」の画像を組み合わせてクリッピングマスクをつかった例ですね。グラデーションツールでは表現しきれない豪華さが演出できています。
最後に
広告表現の紹介をベースに、かなり簡単にですがやり方も書かせていただきましたが、いかがでしたか。
まずはいろんな広告表現を見つけて、「これはなんで目に留まったのだろう」「この効果はどうやっているのだろう」などと、ひとつひとつ細かく分析してみることが、早く技術を身につけるコツです。
creiveでは、これまでにたくさんの話題となった広告をご紹介してきたので、こちらも参考にしてみてくださいね。
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