【マーケティング戦略】新規事業におけるチャネル開拓の際に抑えておきたいこと

こんにちは。negokazuです。

今回は、サービスにおけるマーケティング戦略の中でもチャネルついて執筆いたします。

キーエンスでの営業、大手広告会社での新規事業のマーケティング業務を通じて、学んだチャネルの設計の仕方について、簡単にご紹介したいと思います。

主には新規事業において、今までマーケティング業務未経験の方のお役にたてれば幸いです。

新規事業におけるマーケティングチャネル開拓の重要性とは

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自社領域以外での新規事業、起業したばかりのフェーズ、副業でのWebサービスをおこなう際に、課題に挙げられることが多いのは、どのように販売すればよいか分からないという営業行為です。

チャネル戦略をうまく出来ない場合、資金がたちいかなくなり事業として成り立たせることが出来ません。

マーケティングの4P(プロダクト、プライス、プロモーション、プレイス)でいうと、プレイスに当たる販売する場所や流通先です。マーケティング4Pの中で、価格や製品はオープンな情報となり真似され易くなりますが、チャネルについては磨きこむのに時間がかかり、かつオープンになりにくい情報のため、競合との差別化する上でも非常に大きな要素を占めます。

チャネル戦略は競合との差別化であることを今一度認識し、競合の一歩先をいく、チャネル開拓を進めていきましょう。

最近では、インターネットを利用することが”小単価”で始めることができるため、使われやすいですが、果たしてそれが最も良いチャネルであるのかという点について、洗いだしたいと思います。

チャネル検討時に重要なポイント3点

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先入観を捨て、ゼロベースで考える

チャネルには、プロダクト×事業フェーズ×市場環境にて、大きく変化していきます。

常にそれぞれが変化しているため、必ず定期的に見直す必要があります。様々なマーケティングチャネル開拓の成功事例はありますが、それをあてはめてもそのまま効果を生むことは、少ないです。

初期の調査フェーズでのチャネル開拓や拡販フェーズでのチャネル開拓は大きく異なりますし、ほんの5年間でインターネットのマーケティング市場は大きく変化しています。

会社・担当者の過去の成功捉われると、チャネルでのイノベーションが無く、いつの間にか陳腐化したチャネルになっていることがあります。

データ化に拘る

「あなたの会社の顧客獲得コストは?」と問われて、すぐに回答できる会社はありますでしょうか。

全体であれば、可能かもしれませんが、チャネルごとに獲得コストを算出している会社は少ないと思います。

最初はデータ化に対しての時間コストがかかる場合が多く、後回しになりがちですが、数字化に拘らない場合、各チャネルからの効果とコストを明確に把握し、次のチャネルに移るという意思決定のためにも、必ず実施して下さい。

ファネル分析を行うことをお勧めします。

ファネル

チャネルごとのデータ化をする上では、ファネル分析を行いましょう。各チャネルごとのファネルを確認し、それぞれが最終コンバージョンに至るまでの確立を必ず確認しましょう。

数字化に際して、1成約当たりの売上( + 顧客生涯価値(LTV)) から、コストを顧客獲得単価(CPA)を引いて、一成約当たりの利益額を厳密に管理しましょう。検証目的の投資時期は売上-コストがマイナスでも、問題ないですが、収益段階でアクセルを踏む際は、必ずプラスになっているという確証のもと進めましょう。

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LTVの試算は、立ち上げ時は、ファクトが無いため、当てをつけるしかないですが、その点は立ち上げながら精査をしていきましょう。

生情報に拘る

顧客を見ずに、机上で進めても意味がありません。チャネルを設計する際は、必ず顧客増を明確にし、全体が顧客増の意識統一が出来ている状態を整えましょう。

生の情報による価値は、デスクトップ調査(PCで得られる情報)の何倍も価値があります。デスクトップ調査で得られる情報は、誰もが得られる情報であり、他社と差別化することは出来ません。目の前の問題を解決することが最も価値を見つけやすい情報となります。

エンドユーザーの場合は、フェイスブックイイネをしている人に、会ってみましょう。クライアントの場合は、足を運んでクライアントの困りごとを掘り下げ続けましょう。

チャネル戦略を策定する手順

ブレスト

チームメンバー、マーケティングチーム以外も含めて、開発や企画・営業全ての部門を集め、ブレストを行いましょう。

ブレストで重要な点は、誰もが持っているチャネルに対する先入観です。先入観にとらわれず、出てきたアイデアはすべて書き出していきましょう。

もし可能であれば、マーケティングに長けた人を外部パートナーとして、一緒にブレストに参加してもらいましょう。

参考 ▷ 「ブレスト」のルールと進め方

ブレストでは、下記列挙しているチャネルのカテゴリから、漏れのない観点で、様々なアイデアを出していきましょう。

投資対効果予想(最小で始められる金額から算定する)

そのアイデアに対してどの程度うまくいきそうか、コストはどれくらい獲得できどれくらいの期間でテストが出来そうかを書き出していきましょう。

テストでの活用目的がメインのため、ミニマムの予算・時間で出来る内容、それから得られそうな効果を記載していきましょう。

優先順位づけ

上記の出てきたアイデアに対して、3段階に分け、可能性を高・中・低に分け、ランク付けしていきましょう。観点は、高に3つくらいが絞られるまで持って行きましょう。

また、中・低の中でも、コストも金額もかからない内容について、大穴として検討しましょう。

テストを行う

優先順位付けで、3つに絞られればテストに移ります。

テストをする際の注意点は、1つに絞り過ぎない、かつ多くをやり過ぎないことです。同時に行うのは、MAXデ3つくらいまでだと思います。そうでないと、効果測定でコストがかかるだけでなくぶれる可能性がでてくるからです。

チャネルの獲得コストをはかることはもちろんですが、そのチャネルに対しての顧客数がいるか (ターゲットがどれほどそのチャネルを見ているか、存在するか)も確認しましょう。

フェーズが初期の時は、顧客数が少なくても良いですが、フェーズが拡販期に入ると顧客数が大事になってきます。顧客数が、確認できれば、そのチャネルで、どこまでマーケットを取りに行くことが出来るかの事業計画にもつなげることが可能です。

集中開拓

テストが終わり、そのチャネルからの流入が見込まれれば、アクセルを踏み成長へ加速していきましょう。絞ることが出来れば、集中的に実行を繰り返すのみです。

チャネル開拓は、忍耐との戦いでもあります。細部に拘り、泥臭くマーケット開拓をしていきましょう。

それぞれのチャネルの特徴について

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■SEM
概要:検索エンジンマーケティングの略で、GoogleやYahooの上位に広告で出てくる枠の購入がメインとなります。

ターゲット:目的をもって検索した顕在層

金額:5,000円ほどから開始可能

特徴:自社の製品のポジショニング等が確認できるため、完成前の製品でも、LPのみ公開し、広告を打つことで、どれだけその製品が受け入れられるかを検証する目的でも利用することが出来ます。

■ソーシャル/ディスプレイ広告
概要:広告ネットワークを利用したネット上のバナー広告です。

ターゲット:潜在層への認知がメイン。リターゲティングを行える場合は、顕在層となる。

金額:5,000円ほどから開始可能

特徴:すぐに効果を見込むことは難しい一方で、認知による需要創出が可能となる。安くするためには、自社ターゲットがいる小規模サイトに直接連絡と取り、安価に広告を出してもらえるよう打診するのも一つの手となります。

■SEO
概要:検索ランキングを狙いに行く手法となります。ロングテールを狙いに行く戦略とビッグワードを狙いに行く戦略があります。

ターゲット:目的をもって検索した顕在層

金額:自身で作成する場合であれば無料です。

特徴:多くのサイトが、検索上位を狙うために、様々なコンテンツ創出やサイト設計構築を行っています。ビッグワードは、時間もコストもかかるため、新規事業の場合は、ロングテールを狙うことが主流です。

特に、ロングテールが具体的に検索している「do」クエリと呼ばれるもので、如何に強くなるかが、新規事業においては、大事となります。

■バイラルマーケティング
概要:口コミをベースとしたものから、製品自体が二人以上で成立するコミュニケーションサービス、紹介による金銭的インセンティブを与える場合等、人が人を呼ぶ場合は、今回の対象となる。

ターゲット:既存顧客から、潜在顧客に対してのアプローチ

金額:インセンティブが発生するもの以外は、特に必要がない。

特徴:バイラルマーケティングの数値化は難しいが、一つ例を上げると、既存の顧客1人当たりの紹介を送ってくれる人数×クリック率×CVR率にて、はかられることが多い。dropboxが友人紹介でGBを分け与えたような設計をすると、1以上の数字で、バイラルし、指数関数的な爆発を期待できる。

■コンテンツマーケティング
概要:企業ブログやメディアを持つこととなりますので、SEOの一環で行うことが多くなります。
ターゲット:SEOでの上位を狙うため、顕在層(厳密には、knowキーワード、doキーワードを狙うかにもよります。)

金額:自身で作成する場合は無料です。クラウドソーシングを活用すると、リライトであれば、1文字1円等で、外注することも可能となります。一方で、toB向けの場合は、コンテンツにも、力を入れる必要があるため、費用は比較的高くなります。

特徴:良質のコンテンツが必要であり、ターゲット顧客が困っていることや自社のデータベースにある情報を発信することにより、話題を呼ぶコンテンツを作成しましょう。SEOのキーワードを狙いすぎたコンテンツではなく、困っていることをインフォグラフィック等で分かり易くするということがポイントになります。

題材を決めることもポイントになるため、常に話題が尽きないように、ブレストで、ストックしていきましょう。

■メールマーケティング
概要;メールを活用して、LTVを高める手法です。目的は、顧客発見から、継続維持、紹介を促すことまで可能ですが、最近ではメールよりメッセンジャーが主流となりますので、以前よりも効果は落ちています。

ターゲット:メールマーケティングは、既存顧客に対するLTVアップの目的のためが多い。中長期的に顧客単価アップを目的に活用しましょう。

金額:メールを送付するだけであれば、特に金額は発生しない。一方で、ご送信防止のために、オンラインツールの活用をお勧めする。開封率の調査やABテストが付いているツールでも月額1000円のものからあります。

特徴:顧客発見の際は、プレミアコンテンツで顧客情報の獲得をお勧めする。

■営業
概要:BtoBや高額商品に適する対人型の販売手法となります。
ターゲット:様々なフェーズに対してアプローチをすることが可能なため、最もコストをかけなければいけない部分に、対人営業の仕組みを組み込みましょう。

金額:一人月50万くらいで依頼することも可能となります。最初は、社長自ら電話をする、顧客に行くことをお勧めします。

特徴:現在は、営業代行も多数の会社で行われており、営業を自社で育てる必要が無く、チャネルのテストを行うことは可能です。ただ、法人向けサービスにおける顧客の声を聴く仕組みがないと、サービスの独り歩きが進んでしまう可能性が高いため、営業を1人は自社で持つことをお勧めします。

■ブログ広告
概要:ターゲット顧客に対して、大きな影響力のあるブログがある場合は、直接ブロガーに連絡を取ってみるのも一つの手段としてお勧めします。メディアより安く広告を打たせてもらえる可能性があります。

■エンジニアリングの活用
概要:業務支援システム、chromeのウィジェット等で認知を獲得することにより、リード獲得する方法となります。

■アフィリエイト
概要:ブロガーに対して、収入を見返りに、広告を打ってもらう方法です。成約当たりに金額が発生する場合が多いため、広告よりも効果が高いことがあります。

■オフライン広告
概要:様々な広告手段があります。意外と安い場合もありますので、まずはターゲットがどのような行動をしているかを観察し、オフラインで親和性が高い場合、テストする価値はあります。ネットに比べ、検証が難しくなるため、検索ワードを提示し、そこからの流入を振り返ることが出来る等を設計し、実施してください。

ビジネス開発(パートナーシップ構築)
概要:業務提携やジョイントベンチャー、販売店契約、ライセンス供与等、様々な方法があります。上手く組むことが出来ると、無料で、双方の弱みを補完できる仕組みを作ることが出来ます。

■PR
概要:業界で有名なメディアの記者と仲良くなり、いつでも記事を書いてもらえる関係づくりをしていきましょう。関係性の第一歩は、メールを打つことです。一つでもフックになるような成果を前面に出し、プレス発表前に、メディア関係者にメールを打ってみましょう。記事にコメントで、関係性を構築できます。

■展示会
概要:展示会は、リード獲得手段で大きい力を発揮する一方で、競合がひしめきあっています。競合との差別化とともに、リード獲得からナーチャリングできる仕組みを整え、展示会を行いましょう。

■講演
概要:講演会を行うことは、リード獲得だけでなく、業界に対して一定のアピールになります。業界内で、声をかけられることは、PRになるだけでなく、業界の情報が多く入ってくるようになります。

■コミュニティ構築
概要:オンライン、オフラインそれぞれで、ファンを作ることにより、顧客を増やすだけでなく、製品開発にまで役立てる仕組みを作ることが出来ます。海外のグルメサービスのYelpは、コミュニティ構築を上手く回しています。

最後に

如何でしたでしょうか。

他にもさまざまなリード獲得手段があると思いますので、最初の手順にあるようにブレストをして、現在の自身のビジネスに最も合う手段をテストしてみることから始めましょう。

新たな価値あるサービスが、ビジネスとして、軌道になることを願っています。