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東京と長野の2拠点生活で実現した新しい働き方&暮らし方

公開日:2015/09/25
更新日:
暮らし

クラウドソーシングの普及や、SlackやSkypeといったコミュニケーションツールの発達により、都心以外での働き方、いわゆる「リモートワーク」や「二拠点生活」に注目が集まっています。

そんな流れに乗ろうと、全国の地方自治体も若手ベンチャーの受け入れに積極的になっており、資金面やインフラ面でのサポートにも力を入れています。

今回より、都心と地方の2拠点生活を実現している人たちによる「二拠点生活&ワーク」のメリットや課題、体験記を連載していきます。

第一回目は、長野に家族と移住し、平日は東京の企業で仕事、その他は長野での生活を実践している津田氏による寄稿です。

移住や地方での起業を考えている人の参考になれば幸いです。

長野に家族で移住、平日は東京の企業で勤務

いま、みなさんはどこに住み、どこで働いていますでしょうか?

仕事場からそう遠くない、電車で30分圏内に住んでいる人。もしくは都心から離れた郊外に住み、オフィスまで毎朝1時間かけて通勤する人。いろいろな生活と通勤のパターンがあると思いますが、これまでは、“住む場所は仕事や勤務先に合わせて考える”という考え方が一般的であったと思います。

でももし、ネットの発達によって遠隔で行える仕事が増え、いつもと同じ作業ができる環境が整えば、“仕事や勤務地に関係なく、住みたい場所に住む”という選択も可能になるのではないでしょうか?

いま僕は、八ヶ岳の麓にある長野県富士見町という小さな町に住み、週3日間は東京のオフィスで働き、残りの4日間は富士見町の自宅で、自然に囲まれながら仕事をしています。

富士見町広場

富士見町

標高1100mにある自宅からは、南アルプスと八ヶ岳を一望できます。ちょっと歩けば富士山も。

空気は澄んでいて湿度が低く、水道水は南アルプスの天然水とほぼ同じ。回りには高原野菜を育てている畑が広がり、自分の自宅にも様々な種類の食物が実っています。

食物の実

『働き方を変える』実験

30代前半で10年務めた広告会社からメーカーの企画開発に転職した僕は、「業種を変える」ことになったこの転職を“30代前半の実験”と捉えていました。
それから数年。

転職先で海外支社の働き方との違いや、周りのベンチャー経営者やフリーランスの友人たちを見ながら、これから10年先の働き方・暮らし方について考えるようになった僕は、“30代後半の実験”テーマを、「働き方を変える」ことに置いてみようと決めました。

大の山好きであった僕が家族を連れてたまたま訪れた富士見町で出会った、同世代の移住の先人たちが教えてくれたリアルでステキな生活風景。

そして、「富士見町テレワークタウン計画」を進める富士見町役場の人たちや町長との出会いによって企画の実行を手伝うことになり、僕の実験は自分の予想よりも早いペースで進み始めます。
その1年後には富士見町へ引っ越していました。

正直、実現するのは数年後だと思っていたのですが、色々な人との運命的な出会いやご縁が、僕の行動を劇的に早めてくれました。

暮らし始めて分かった長野の良いところ

これまでは登山でしか訪れることのなかった標高1000mを超える高原での生活は、面白い発見と様々な気づきを与えてくれました。

まずなによりも違うのは、自然に囲まれながら暮らすことで得られるリラックス効果。ベタですが、たくさんの緑や山の風景を目の前にすると、本当にいままでの生活との違いが分かります。

富士見の川

そして見るだけでなく、仕事の合間にちょっと外に出て空気を吸ったり、庭に咲く草花に触れたり、ちょっと庭仕事をしたりと、自然と直に触れ合うことを生活の中に取り入れてみると、これまで都心のオフィスからほとんど出ない仕事生活とは比べものにならないくらいストレスが軽減されていることが実感できます。

畑の様子

おすそ分け文化の暖かさ

横浜のマンションに住んでいた頃は絶対にありませんでしたが、うちの自宅の玄関先には、毎週のように隣近所から採れたての野菜をもらいます。

野菜

みなさんプロの農家ですし、自分たちで食べる用の野菜は無農薬。さらに採れたてなので味は最高。高級スーパーのオーガニックコーナーに売られている高級野菜をタダでもらっているようなものです。

モノ以外にも、野菜を育てる知識や生活の知恵など、様々な情報をおすそ分けしてもらっています。「田舎はコミュニティーに入っていくのが難しい」という話をよく聞きますが、ここは地域性からなのか、どんな人にも寛容な雰囲気があります。

周りとの交流は面倒くさいと思う人もいるかもしれません。でも少なくとも僕は、以前のようなコミュニケーションに乏しい生活環境よりもはるかに豊かだなと感じています。

面白いイベントが多すぎる

「田舎は娯楽がない」という話を聞きますが、富士見町に来てから、毎週のように周辺エリアで様々なイベントやワークショップなどが行われていて、正直回り切れません。

クラフト市やマルシェ、不定期開催の絵本喫茶、今年で15周年を迎えた野外フェスや、日本一標高の高い野外映画祭まであります。

ワークショップ

イベント

フェス

フェス

出店

出店

そのほとんどはごく普通の人たちが開いている小さなイベントですが、主催者自身のぬくもりが感じるものばかり。人とのつながりを中心に捉えているため、次から次へと面白い人たちに出会えます。

単純にお金を払って消費するイベントとは違った形の参加から得られる刺激が、「自分もなにか小さくてもできることをやってみようかな」という気にさせてくれます。

東京まで2時間半は、意外と通える

富士見町から東京までは、車でも電車でも2時間半。

富士見駅

いまは特急あずさで新宿まで行っていますが、特急の揺れに慣れてくると、車内で仕事をしたり本を読んだりと、自分の時間を作ることができるようになりました。

これが自分で運転したり、飛行機で通うようなことになると勝手が違いますが、少なくとも電車での2時間半は、「意外と通えるな」という印象です。

暮らし始めて分かった長野の大変なところ

自然に囲まれながらも24hrスーパーもあればコンビニも家電量販店もある富士見町での生活に、今のところものすごい不便を感じることはあまりありませんが、それでも大変だなと感じる部分もあります。

都心では車を持つ必要がなかったのですが、ここではすべてが車での移動。特に車が好きという訳ではない僕にとって、どこへ行くにも車を運転しないといけないのはちょっとストレスです。

気圧の変化はけっこう疲れる

最近は慣れてきましたが、標高1100mから海抜0mに近い仕事場まで通っていると、気圧の変化で身体が疲れることに気づきました。

僕は偏頭痛持ちなので、梅雨の時期は、雨模様の東京へ近づくにつれ頭が痛くなるという現象に悩まされました。

最近でも、異常な湿度の東京とカラッとした富士見町を往復していると、環境の変化についていけない時があります。

雨が降るとやることがない

たくさんのアウトドアアクティビティーが楽しめる八ヶ岳ですが、雨が降るとさすがにやることがありません。標高が高いので雲や霧に覆われることもあり、そうなるともう自宅に籠ることになります。

雨が降っても楽しめる映画館があればいいのですが、最寄りのシネコンまでは車で1時間くらいかかります。

自宅でプロジェクターでも用意してNETFLIXを観れるようにするしかないなと画策中です。

新しい働き方に挑戦できる居場所づくり

僕は東京や大都市での生活を否定するつもりはありません。東京は引き続き重要なハブでありつづけますし、東京とつながり続けることによってしか得られない、たくさんの情報や刺激があると思っています。

でも、東京だけが選択肢ではない。普段の生活と仕事を続ける上で、東京以外にも選択肢があるのだということが、実際に住んでみて実感できました。

また、東京ではなかなか感じることができなかった、地域で様々な活動をする人たちとの交流から生まれる刺激があります。

こうした刺激は、「自分でもなにかできるかもしれない」という考えを抱かせ、もしかしたらそれは新たなビジネスチャンスになるかもしれません。

自分が実験として選んだ選択肢を、より多くの人がその人なりの価値観で実践できるようになれば、日本の働き方も変わるのではないかと思っています。

そんな想いから現在進めているのが、富士見町にある古い木造施設を改装したシェアオフィス兼コワーキングスペースのプロジェクトです。

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駅から車で5分以内の森の中にある2階建ての木造施設をリノベーションし、スタートアップオフィスやサテライトオフィスとして使える個室型オフィススペースと、フリーランスの方々や地元の人々が仕事をしたり、説明会や交流会を開くことができるコワーキングスペースを備えた複合型ビジネス施設です。

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完成は今年の12月を予定しており、現在、個室型オフィススペースの入居企業を募集中です。しかも初年度からの入居企業には、家賃・光熱費が1年間無料という特典付きです。

新しい働き方を実現し、コミュニティーとの交流によって新しい文化を作っていくことに貢献したい。そんな企業やフリーランスの方々に利用してもらえればと思っています。

また、一緒にこの施設の運営をしながら場づくりに貢献してくれるスタッフも募集中です。

入居したい!、興味あり!という方は、こちらのWebサイトよりお問い合わせください。

これからも、八ヶ岳の麓から新しい働き方の創造に挑戦していきたいと思います。

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この記事を書いた人

津田 賀央
2001年から広告会社、㈱東急エージェンシーにてデジタルコミュニケーション領域におけるプランナーとして、様々な国内クライアント企業のデジタルプロモーション企画やサービスに携わる。 2011年末からはクラウド技術を用いたサービス開発やプロトタイプのデザイン、ユーザー・エクスペリエンス(UX)を設計するプランナーとしてソニーに移り、現在に至る。 2015年5月から長野県の富士見町へ移住。役場との共同プロジェクトの企画設計や実行を機に、自身のプランニング会社、Route Design合同会社を設立。 UXデザインからソーシャル/コミュニティデザインまで、幅広く取り組む。

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