CPMとは何か?を徹底解説【定義から計算式、入札戦略まで!】

WEB広告において、よく聞く単語に「CPM」というものがあります。

広告の表示に対しかかる費用、ということはなんとなくわかる人もいるかもしれませんが、実は「CPM」を正しく理解しておくことで、広告効果を上げられることもあります。

この記事では、そんな「CPM」について、その定義から計算式、入札戦略までを徹底解説します。

そもそもCPMとは?

そもそもCPMとは何なのでしょうか?まずは、その定義や計算方法を紹介します。

CPMの定義

CPMとは、広告表示1,000回あたりにかかった費用のことです。

ちなみに、CPMは「Cost Per Mille」の略語ですが、この中の「Mille」はラテン語で1,000を意味する単語です。

CPMについては、アドネットワークやDSP、Google広告やFacebook広告などで幅広く広告配信上の課金形態やレポート指標として使われています。

CPM課金というと、よく「表示されると課金されるもの」と捉えられますが、正確に言うと、広告表示回数1,000回単位で入札がかかり課金される、というものになります。

現在、クリック課金(CPC)や視聴単価(CPV)など、広告の課金形態がさまざまある中で、CPMもポピュラーな課金形態としてさまざまな広告メニューに採用されています。

CPMは、競合が多かったり広告の品質が悪いと高くなり、表示回数の低下要因となります。逆に競合の出稿が少なかったり、広告の品質が高いと判断されるとCPMは安くなるので、表示回数の増加要因となります。

CPMの計算方法

CPMはどのように計算されるものなのでしょうか。ここではCPMの計算式を紹介します。

CPM=広告費÷広告表示回数×1,000

例えば、Google広告で月額50万円の広告費をかけ配信した結果、100万回の表示回数を得たとすると、

500,000円÷1,000,000回×1,000=CPM500円

というようになります。

ここで、CPMの上下がどのように影響するかみてみましょう。

上記例でのCPM500円が、その後広告運用が上手く行って翌月400円まで下がったとすると

費用500,000円÷CPM400円×1,000=表示回数1,250,000回

前月100万回だった表示回数が125万回まで増え、同じコストで25万回も多く広告表示できたと言えます。

一方、広告運用がうまくいかなかったり、競合出稿が多くなってCPMが翌月800円まで上昇したとすると

費用500,000円÷CPM800円×1,000=表示回数625,000回

前月と同じコストをかけたのに37.5万回も広告表示が減ってしまうことになります。

このようにCPMの増減は広告効果に直結してくるものなので、運用指標としては極めて重要なものとなります。また、計算式を覚えておくと、広告効果の状況把握やシミュレーションがスムーズにできるので大変便利です。

CPMのメリット/デメリット

Web広告の課金形態や指標にはCPMの他、CPCやCPVやCPAなどがあります。

広告プラットフォームによっては、選択することもできますが、どのような場合に有利になり不利になるのでしょうか。

CPMのメリットとデメリットをみてみましょう。

CPM課金のメリット

CPMで広告配信をする、ということは、パブリッシャー(GoogleやFacebookなどの広告配信事業者)は表示回数を最大化させるようにアルゴリズムを組んでいます。

よって、広告の訴求ターゲットになるべく多く広告を表示させたい、いわゆる認知目的での広告出稿という場合には、CPM課金のほうがおすすめです。

また、サイト誘導が目的の場合でも、クリック率が高い傾向にある場合は、CPM課金のほうが有利な場合があります。広告をたくさん表示させれば、クリック率が高ければクリック数も多くなるからです。

さらに、アドネットワークやDSPなどの表示枠を何億impも保有しているものの場合、CPMは比較的安定する傾向にもあります。

例えばCPC(クリック課金)はクリックというアクションに影響されるため、ユーザーの興味関心に時期的な変動要因がある場合クリックしないときもあるため、変動が大きくなります。しかしCPMであれば、ユーザーのアクション関係なく入札できるので、変動が少ない傾向にあります。

CPM課金のデメリット

CPM課金は、表示されることに重きを置いた課金形態です。

よって、デメリットとしては、サイト誘導やその先のサイトでのコンバージョンを効果としてみている場合に「費用対効果が悪くなることがある」ということです。

サイト誘導が目的だった場合、クリックされないような魅力のないバナーであってもコストはかかってしまいます。

サイト誘導に失敗している場合、当然その先のサイトでのコンバージョンなどのアクションはないため、費用対効果は悪くなります。

また、アクションにつながるつながらないによらず広告だけ表示されて費用が発生することになるので、実際の費用対効果がわかりづらいということもあります。たしかに広告はたくさん表示はされたけど、ユーザーのアクションにつながっていない。

そんな時、どこがボトルネックになっているかわかりにくいので、PDCAが回しにくい、ということがあります。

Web広告におけるCPM

Web広告におけるCPMの意味は、課金形態と指標です。このうち課金形態については、CPMのほか、さまざまな形態がありますので、Web広告における課金形態について整理しておきましょう。

Web広告における課金形態について

Web広告の課金形態は大きく4つの種類があります。すなわちCPM/CPC/CPA/CPVです。それぞれ簡単に説明します。

<CPM>

CPM(Cost Per Mille)課金は先述の通り、広告表示1,000回あたりに対し発生する費用です。ユーザーのクリックやコンバージョンなどアクションに関わらず発生します。

<CPC>

CPC(Cost Per Click)課金は文字通りクリック1回あたりにコストが発生する課金形態です。費用に対するサイト誘導効果を測りやすいので、リスティング広告やディスプレイ広告などで一般的に使われています。

<CPA>

CPA(Cost Per Acquisition)課金とは、コンバージョン獲得1件あたりに対し課金される課金形態です。成果報酬型のアフィリエイト広告などに多く採用されています。

<CPV>

CPV(Cost Per View)課金は、動画広告でよく用いられる課金形態で、広告動画視聴1回あたりにコストが発生します。YoutubeのTrueView広告などに採用されています。

CPC課金とどちらが有利か?

ディスプレイ広告においてCPC課金は広告主にとって理解しやすい指標のため多く使われています。

そのような広告主がCPM課金のメニューを検討する場合、どう判断すれば良いのでしょうか。

先述の通り、CPM課金は広告表示を最大化させるアルゴリズムが働きます。一方CPC課金はクリックを最大化させるアルゴリズムが働きます。

ここに着目して、広告の目的に応じて有利かどうかを判断します。すなわち、広告露出に重きをおきたい場合はCPM課金が有利、クリックなどサイト誘導とサイトにおけるコンバージョンを成果としてみている場合はCPC課金が有利です。

一方、クリック率が0.1%以上か未満かでも変わります。

例えばクリック率が0.2%のディスプレイ広告に50万円出稿したとします。CPMもCPCも同じ200円だった場合、以下のような広告成果を得ます。

(a)CPM200円の場合・・・

 

表示回数  500,000円÷200円×1,000=2,500,000回

クリック数 2,500,000回×0.2%=5,000回

(b)CPC200円の場合・・・

 

表示回数  2,500回÷0.2%=12,500回

クリック数 500,000円÷200円=2,500回

このようになり、(a)の方が広告表示においてもサイト誘導においても有利であることがわかります。

一方上記の前提で、クリック率のみを0.08%にすると

(a)CPM200円の場合・・・

 

表示回数  500,000円÷200円×1,000=2,500,000回

クリック数 2,500,000回×0.08%=2,000回

(b)CPC200円の場合・・・

 

表示回数  2,500回÷0.08%=3,125,000回

クリック数 500,000円÷200円=2,500回

すなわち、(b)のほうが広告表示においてもサイト誘導においても有利です。

ちなみに、クリック率0.1%の場合は、(a)=(b)となります。

 

クリック率0.1%が一つの判断基準であることを覚えておきましょう。

さまざまなCPM関連用語

一口にCPMとついていても、さまざまな考え方があります。

eCPMとは?

CPMと名前がつく言葉として、eCPM(effective Cost Per Mille)というものがあります。

これは、実際CPM課金ではないCPC課金の広告をCPMに換算して算出するものです。

なお算出方法はCPMと同一です。なぜ、わざわざeCPMを算出するかというと、広告施策上複数の広告メニューを運用する場合、あるメニューはCPC課金、あるメニューはCPM課金だったりと課金形態がばらばらな場合がよくあります。

この場合、コストに対する効果を整理して検証するために、CPC課金の広告メニューをCPM換算しレポートにまとめます。この場合のCPMがeCPMです。

eCPMを算出し、CPMベースで整理することで、メニュー毎の広告表示に対する費用が分かりやすくなるので、どの広告メニューが費用上効率良く表示されていたか、レポート上で評価しやすくなります。目的がサイト誘導であってもコンバージョン獲得であっても、広告はまずターゲットに露出されることが第一です。その意味ではeCPMは非常に意味のある指標であるといえるでしょう。

vCPMとは?

CPMにはvCPM(viewable Cost Per Mille)という指標もあります。vCPMは、ユーザーが見られる状態にあった広告の表示1,000回あたりの広告コストです。

実は、広告が表示されるページにユーザーがアクセスしたとき、広告がページの下部に表示されていても、表示回数は1回にカウントされます。つまり、ユーザーが広告を見る前にそのページから離脱してもCPMでは課金されてしまいます。

近年このことが問題視されるようになっており、vCPM、つまり見られる状態にある広告に対する課金を行うという広告メニューが増えてきています。

代表的なメニューがGoogle広告のディスプレイ広告(GDN)です。GDNでは、クリック課金のほか、視認範囲のインプレッション単価(vCPM)制を選ぶことができます。ちなみにGDNにおけるvCPMの定義は、「広告面積の 50% 以上が画面に表示され、かつディスプレイ広告では 1 秒以上の表示」となっています。

【豆知識】Web広告以外のCPM

ちなみにマーケティングの世界では、Web広告で用いるCPMとは違うCPMもありますのでご注意ください。

<テレビ広告におけるCPM>

テレビCMにおいてもCPMという指標は使われます。テレビCMの場合は、広告を1,000世帯に到達させるのに必要な広告費を指します。なお、CPMではなく、よりわかりやすくCPT(cost per thousand)とも言われることもあります。

<CRM分析におけるCPM>

データベース(CRM)に貯め込まれた、顧客データを分析する手法としてCPM(Customer Portfolio Management)分析というものがあります。これは顧客をグルーピングし、各々の属性に応じたリードナーチャリングの施策の効果をチェックする手法のことを指します。

CPMを理解してWEB広告を最適化させよう

この記事ではCPMについて、その定義から考え方、他の課金形態や指標との違いを解説してきました。CPC課金やCPV課金など、ユーザーアクションに対する課金形態に慣れていると、CPMすなわち広告表示に対する課金については「非効率的なんじゃないか?」と考える人もいると思います。

しかし、広告の目的やクリック率などで実はCPMのほうが有利だった、ということは往々にして考えられます。

もちろんそのほかの要素でも広告効果は変わってきますので、一概に判断できませんが、CPMの考え方を理解し使いこなすことで、最終的な効果最大化につなげられることもあります。ぜひ、参考にしてみてください。