アメリカでは2022年には国内の人口の50%がフリーランスになると言われているぐらい、大人気のフリーランスという働き方ですが年々日本でもアメリカの影響を受けて増えつつあります。
今回はそんなフリーランスが必ずやっておきたい、「開業届」の提出について詳しく解説していきます。
開業届とは、正式名称(個人事業の開業・廃業等届出書)のことなんですが、これを提出することでフリーランスとしての確定申告時の節税対策や自分の屋号が持てたりするので大変便利です。
多くのフリーンランスの方が提出している「開業届」なので、あなたもこの記事を参考にしながら順を追って提出してみてくださいね。
- これからフリーランスになろうと考えている方
- 開業届の提出方法が分からない方
- 開業届にはどのようなメリットがあるのか知りたい方
フリーランスの多くが開業届を出す理由
フリーランスになるとその多くが最初に行うのが「開業届」の提出です。
開業届とは、その名の通り(個人事業主として開業しましたよ!)という報告を行う書類です。
ここでいう”開業”とは、あなたが(仕事を始めましたよ)という意味になります。
報告だけなら別にしなくても良いのでは?と感じる方もいるかもしれませんが、実はこの「開業届」を出すのには大きな理由があるんです。
理由としは大きく分けて3つ。
- 節税対策になるから
- 小規模企業共済に加入できるから
- 自分の屋号で仕事ができるから
それぞれ分かりやすく以下から解説していきますね。
フリーランスが開業届を出す理由①:節税対策になるから
フリーランスになると会社員や公務員と違い、これまで会社や国が行なってくれた年末調整をあなた自身で行い、税金を納めなければなりません。
これを「確定申告」というのですが、フリーランスになると毎年納税する税金額を算出するために、その年の所得を計算して税務署に書類提出する義務があります。
それを「青色申告」や「白色申告」などと言ったりします。
フリーランスになりたてで、所得が低い方であれば「白色申告」でも構わないのですが、ある程度所得がある方は、「青色申告」で申請した方が65万円の控除を受けることができるので大変便利です。
しかし、この65万円の控除を受けるためには「開業届」の提出が必要不可欠なんですね。
フリーランスが開業届を出す理由②:小規模企業共済に加入できるから
小規模企業共済とは、簡単に言ったらフリーランスを対象とした「積み立て式の退職金制度」です。
会社員や公務員であれば退職時に「退職金」が貰えますが、フリーランスの場合はどこにも所属していないので退職金は出ません。
しかし、小規模企業共済に加入しておくと老後に退職金として、あなたに返ってくるのです。
フリーランスなのに退職金がもらえる制度なんてかなり魅力的なんですが、これも「開業届」を提出していないと加入することができません。
フリーランスが開業届を出す理由③:自分の屋号で仕事ができるから
「開業届」を提出することで、あなた専用の屋号を持つことができます。
この「屋号」とはいわばあなたの会社名のようなもので、著作権や特許情報にかからない限り自由に命名することができます。
開業届を提出して屋号が決まると、銀行口座をその屋号で開設できたり、領収書の名前に屋号を使うことができたりするので大変便利ですね。
フリーランスが開業届を出すメリットとデメリット
フリーランスが開業届を出すメリットとデメリットについて、詳しくここで見比べてみましょう。
メリットについては先ほどの「フリーランスの多くが開業届を出す理由」の内容とさほど変わりないのですが、意外にもデメリットについては把握していない人が多いので、提出前に確認しておいてください。
フリーランスが開業届を出す3つのメリット
フリーランスが開業届を出すメリットとしては、大きく分けて3つあります。
- 青色申告が出来るようになる
- 退職金がもらえるようになる
- 屋号で銀行口座を開設できる
メリットについては、前述した内容と被るのでここではサラッと解説していきますね。
開業届を出すメリット①:青色申告が出来るようになる
フリーランスが青色申告を行うには、2つの提出書類が必要になります。
- 開業届
- 青色申告承認申請書
大体のフリーランスの方が開業届を提出する際に、一緒に「青色申告承認申請書」も提出するのですが、この青色申告承認申請書とは簡単に言ったら(今年の確定申告は、青色申告しますよ!)という申請書になります。
この2つがしっかりと提出されていないと、確定申告時に青色申告できないので注意しておいてくださいね。
開業届を出すメリット②:退職金がもらえるようになる
開業届を提出することで、世間的には「起業」したことになります。
小規模ですが開業届を出したことで、あなたは個人事業主として仕事をしている状態になるわけですね。
個人事業主なので退職金等はもちろんないのですが、そんなあなたを救うための便利な個人事業主を対象とした制度「小規模企業共済」に加入することで、退職金をもらえるようになります。
開業届を出すメリット③:屋号で銀行口座を開設できる
開業届を提出することで、前述した通り屋号で銀行口座を開設することができます。
そうすることにより、プライベートで使う銀行口座と仕事で使う銀行口座を、分けることができるので大変便利ですね。
フリーランスは会社員や公務員と比べて、社会的な信頼性が低いですが「開業届」を提出して個人事業主だと名乗ることにより、信頼性をアップさせることができるのです。
フリーランスが開業届を出す2つのデメリット
意外と知らない人が多い開業届を出すデメリットですが、フリーランスが開業届を出すデメリットには、大きく分けて2つあります。
- 税務署のチェックが若干厳しくなる
- 失業保険の対象でなくなる
こちらも分かりやすくそれぞれ解説していきますね。
開業届を出すデメリット①:税務署のチェックが若干厳しくなる
フリーランスとして開業届を提出すると、税務署のチェックが若干ですが厳しくなります。
これは開業届はあくまでも(個人事業主として、仕事を始めましたよ!)という届け出なので、もし仮にあなたが年度末に確定申告等を行わなかったりした場合は、無申告となり税務署から注意されたり最悪、罰金になる可能性もあります。
あくまでも開業届はあなたが個人事業主になるための申請なので、開業届を提出していない人よりも納税の義務はより厳しく問われるわけですね。
開業届を出すデメリット②:失業保険の対象でなくなる
フリーランスが開業届を提出するということは、あなたはその時点で「失業者」の対象ではなくなります。
ということは、必然的に「失業保険」は該当せずお金はもらえなくなってしまいます。
開業届を提出したということは、あなたは個人事業主ですので自分の事業(仕事)を行なっているわけですから、失業者ではありませんよね。
また、間違って開業届を提出してしまった場合は、「廃業届」を提出するとまた失業者に戻ることも可能なので、どうしても失業保険を利用したい方は試してみてください。
フリーランスの開業届提出までの手順と方法
フリーランスの開業届提出までのやり方は、いたって簡単です。
まず、注意する点は、原則として、開業をした日から1ヶ月以内に申請しなければいけません。また青色申告をする場合は開業日から2ヶ月以内に青色申告をしなくてはいけません。それを逃すと次の年の3月15日までに提出をしなければ白色申告のままになるので留意しておきましょう。
方法としては、2つあり1つは実際に最寄りの税務署に出向いてから書類を書き、直に提出する方法。
- 最寄りの税務署を訪ねる
- 「開業届」を提出したい事を伝える
- 担当スタッフと一緒に「開業届」を記入
- 書き終わったら、そのまま提出
もう1つは、会計ソフト「freee」を活用して書類を作成し最寄りの税務署に郵送する方法ですね。
- 会計ソフト「freee」で書類作成(無料)
- 必要書類を最寄りの税務署に郵送
その際には前述したように「青色申告承認申請書」(青色申告の届け出)も、一緒に提出すると次年度から青色申告が可能となるので、合わせて行なっておきましょう。
また、開業届の詳しい書き方については次の章で詳しく解説しますが、個人ではどうしても分からない場合は最寄りの税務署に行けばスタッフが丁寧に教えてくれますので、聞きながら書くとより理解も深まって良いかもしれません。
フルーランスの開業届の正しい書き方
フリーランスの開業届の正しい書き方については、初めて書く方は何も分からないと思いますので、必ず最寄りの税務署もしくは書いたことがある人に相談してから書くようにしてください。
何故ならば、開業届の記入項目であなたが納税する額が変わってくる恐れがあるからです。
どの項目もかなり重要なので、しっかりと考えてから記入するようにしましょう。
詳しい記入例に関しては、以下の国税庁のHPに詳細が公開されているので、そちらを参考にしてみてください。
例も作ってみたので参考にしてみてください。
それでも書き方が分からないという方は、前述したように会計ソフト「freee」を活用して書類作成するか、最寄りの税務署を訪ねて専属のスタッフと一緒に書けばOKです。
フリーランスが開業届を出す際によくあるQ&A
フリーランスが開業届を出す際にもっとも多かった質問について、以下にまとめてみました。
それぞれ詳しく回答しているので、これから開業届を提出しようと考えている方は是非とも参考にしてみてくださいね。
Q1:フリーランスの開業届はどこで貰えば良いのか?
フリーランスの開業届に必要な書類は、
することで入手が可能です。
提出した後は、必ずあなた自身でも控えとしてコピーを保管しておきましょう。
何故ならば、確定申告時に必要になるからですね。
Q2:フリーランスの開業届はどこに出せば良いのか?
フリーランスの開業届は、最寄りの税務署に提出すればOKです。
その際は、直にあなたが税務署に持参しても良いですし、郵送でも可能となっています。
Q3:フリーンランスの開業届はいつ出せば良いのか?
フリーランスの開業届は、原則事業開始から1ヶ月以内と提出期限決まっています。
ですが、実際にはほとんどのフリーランスの方が忘れた頃に提出したりするので、大分遅れて提出する人が大半ですね。
提出が遅れても罰則や注意されることはありませんが、提出しないと年度末の確定申告時に青色申告できないので、その点だけ注意が必要です。
開業届の提出は、早いにこしたことはありませんね。
Q4:フリーランスは開業届を出さなくても仕事はできるのか?
開業届は必ずしも提出しなければいけないというわけではありません。
ただ、提出しないと前述したような
- 青色申告が出来るようになる
- 退職金がもらえるようになる
- 屋号で銀行口座を開設できる
といった特典は受けれないので、その点だけ把握しておきましょう。
Q5:フリーランスの開業届の屋号は必ず書かないといけないのか?
開業届を書く際に、「屋号」という欄が出てきます。
この屋号とは、これからあなたが作る会社の名前みたいなもので、実際にはつけても良いですしつけなくても良いです。
屋号なしで提出しても開業届は受理されますが、何かしらつけておいた方が銀行口座を作る時や領収書の名義を書く時などに使えるので大変便利です。
屋号をつける際には、特許情報等に被らないような名前をつけるようにしてくださいね。
名前が被っているか不安な方は、「特許情報プラットフォームHP」で確認してみてください。
また、あくまで個人なので「会社」という名前をつけることはできないので注意しましょう。
Q6:フリーランスの開業届に書く事業の概要はどう書けば良いのか?
開業届を書く際に、「事業の概要」という項目が出てきます。
ここで言う事業の概要とは、あなたが行なっている仕事内容の事を指します。
開業届に書く事業の概要については、後で融通が利くように書いておくことがポイントになりますね。
例えば、私の場合であれば職種がライター業なので、事業の概要は以下のような感じになります。
このようにザックリとした感じで書いておくと、後で融通が効きやすくなるのでおすすめです。
書いておかないと後ほど修正することも面倒なので、将来したい仕事がある場合はそちらも記載をしておきましょう。
Q7:フリーランスの開業届の職業の欄はどう書けば良いのか?
開業届の記入項目で一番気をつけて欲しいのが「職業」の欄ですね。
万が一、あなたが職業の欄を間違えた分類で書いていると、後で多く税金を支払わなければいけなくなってしまう恐れがあります。
そうならないで良いように、しっかりと自分の今の仕事がどのような職業に分類されるか把握しておくことが大事です。
分からない人は「総務省HP(日本標準職業分類)」で、確認できますのでご利用ください。
ただ、ぴったり当てはまる分類がない場合もあるので近しい物を選びましょう。もしわからない場合は空欄にしておき、提出の際に確認をしましょう。
フリーランスの確定申告におすすめのクラウド会計ソフトTOP3!
多くのフリーランスが開業届を提出するのは、年度末の確定申告で極力納税額を抑えたいから、と前述しましたが正直いってフリーランスの初めての確定申告は何かと分からないことが多くて大変です。
しかし、それらの問題はクラウド会計ソフトを活用することで、税金や確定申告の知識が全くなくても解決することができます。
筆者である私自身も、クラウド会計ソフトを利用して毎年サクッと確定申告を行なっているので、是非ともまだ利用していない方は以下にフリーランスにおすすめのクラウド会計ソフトをご紹介していますので参考にしてみてくださいね。
フリーランスにおすすめのクラウド会計ソフト①:freee
公式サイト:freee
開業届の書類作成から確定申告書の作成まで、初心者でも簡単に作れるクラウド会計ソフト「freee」。
数あるクラウド会計ソフトの中では一番利用者が多く、有名YouTuberの方もサービス紹介動画を上げているほど有名なクラウド会計ソフトです。
白色申告であっても、青色申告であっても臨機応変にしっかりと対応してくれるので、初心者の方におすすめのクラウド会計ソフトですね。
<こんな人におすすめ>
- 税金や確定申告の知識が全くない方
- フリーランスとして初めて確定申告を行う方
- 開業届をネットでサクッと作りたい方
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フリーランスにおすすめのクラウド会計ソフト②:MFクラウド
公式サイト:マネーフォワード
多種多様なサービスを備えている、比較的中・上級者向けのクラウド会計ソフト「MFクラウド」。
筆者も3年ほど利用していますが、確定申告の書類作成から請求書の作成や売り上げ管理など、様々な面でかなり重宝しています。
初心者の方にはfreeeと比較して、少し操作が難しかったりするかもしれませんが、ある程度慣れてくると大変便利なので気になる方は無料期間だけでも利用してみていかがでしょうか。
<こんな人におすすめ>
- 簿記などの知識がある方
- 利用できるサービスが多い方が良い方
- 比較的サポート体制が万全なクラウド会計ソフトが良い方
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フリーランスにおすすめのクラウド会計ソフト③:やよい青色申告
公式サイト:やよいの青色申告オンライン
シンプルで大変操作性が高いサイトが特徴のクラウド会計ソフト「やよい青色申告」。
全くの初心者でも青色申告が簡単にできるほか、MacBookのPCを使っている人にかなりおすすめのクラウド会計ソフトですね。
ご利用中のクレジットカードや銀行口座と連携させることで、自動で帳簿管理してくれるのでズボラな性格の方も、やよい青色申告さえ利用していたら年度末に慌てることはないでしょう。
<こんな人におすすめ>
- 簿記について全く知識がない方
- 普段からMacBookを使っている方
- 初めて確定申告を行う方
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フリーランスは開業届を出して節税に努めよう!
フリーランスが開業届を提出する大きな理由は、大まかに言うと「節税のため」です。
そのほかにも前述した通り複数のメリットがありましたが、節税対策が一番の目的といっても過言ではありません。
少しでも年度末の納税額を減らすためにも、フリーランスの方は青色申告を利用し、65万円の控除を受けたいわけです。
それには「開業届」が必ず必要なので、これからフリーランスになる方も今現時点でフリーランスの方も、開業届をまだ提出していない方は出来るだけ早めに提出しておきましょう。