プロが実践しているロゴの作り方

デザイン

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はじめまして。デジタルを軸にしたクリエイティブ・エージェンシーPARK Inc.のアートディレクターの佐々木智也(@tomosasaki)と申します。

昨今、ロゴを取り巻く環境は大きく変わりつつあります。日々誕生するスマートフォンアプリやWEBサービスの台頭によって、ロゴをつくる機会は確実に増えてきています。

特にWEBデザイナーの方は、WEBサイトやアプリのUIデザインの延長上でロゴをつくることになり、戸惑うことも少なくないのではないでしょうか?

今日は、ロゴデザインに強みや専門性をもっているデザイナーがどのようにロゴをつくっているかを紹介していきます。これでもう、ロゴデザインを恐れることはない、かもしれません。

ロゴ制作における大切なポイントをおさえよう

なぜロゴが必要なのか? まずはそこから考えてみましょう。

企業や商品をはじめ、アプリやサービスには、かならず強みや他と違う魅力があります(まれにないものも存在しますが…)。

一方で言葉だけで語ると長くなってしまうし、なるべく多くの人に統一したイメージ(=らしさ)をもってもらいたい。そのために有効な手段がロゴデザインです。つまりロゴデザインは、それらの”らしさ”をつくり、つたえるのが役目なのです。

そこで、ロゴ制作にあたる際に”らしさ”をしっかりのせるため守るべき4つのポイントを紹介していきます。
これを押さえておけば、目的に合った機能をするロゴがつくれるようになります。

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①独自性

オリジナリティを持ち、類似や模倣がないか。

オリンピックのエンブレム問題が記憶に新しいです(長くなるのでここには触れないでおきます)が、そもそも他との違いを打ち出すものなので、ここは非常に重要になります。

②メッセージ性

伝えたい意図がカタチに表現されてるか。

みなさんが親しんでいるロゴがそうであるように、良いロゴはカタチから意味やメッセージが容易に想像できるようになっているはずです。

③再現性

WEB・紙媒体、カラー・モノクロ、サイズの大小等に関わらず、再現できるロゴになっているか。

例えば、ロゴを小さく表示すると一部がつぶれてしまたり、印刷で再現できない色を指定するものは、どんなに素敵なロゴでも失格です。

④記号性

覚えてもらいやすい、複雑でないカタチになっているか。

シンプルなほど人の記憶には残りやすいもので、国旗なんかを見てもらうとよく分かると思います。ただしシンプルになればなるほど類似のカタチは増えてくるので、これは難しい問題で、落とし所のバランスが肝心になります。

ロゴができるまでのプロセスを知っておこう

◯◯会社のロゴの費用は実は1億円!? そんな記事を読んだことありませんか?

今ではクラウドソージングで3万円でロゴが頼める時代、この価格差はどこから生まれているのででしょうか。ここには確かな理由があります(確かに1億は例外中の例外かもしれませんが)。

それを読み解くために第一線で活動するデザイナーがどのようなプロセスでロゴをつくっているかを紹介していきます。

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Step①クライアントからのオリエン
はじめに、クライアントから依頼背景、課題などをまとめた資料(口頭の場合もありますが)をもとに話を聞く会を実施

Step②クライアントへのヒアリング
オリエンをもとに、こちら側が制作のヒントにもっと聞きたいことを質問していきます。

場合によっては社内の別部署や、もっというと愛用するユーザーを集めてインタビューをおこなうこともあります。ここで、徹底的に強みや魅力につながる種を掘り出していきます。

Step③インプット
クライアント自身の歴史や商材の情報から創業者の著書、業界や競合他社の情報等、すこしでも関わるものを調べたり読み込んだりしていきます。

Step④コンセプトメイク
①~③で得た情報を元に前述した”らしさ”を掘り起こす作業。

カタチにする前にまずは、”一言で説明できるような言葉””で書き起こしていくのが経験上やりやすいです。頭の中で無理に絞らず、考えうる切り口がすべてだしきるつもりで考えていきましょう。

Step⑤ラフスケッチ
考えた各コンセプトを、手書きレベルでカタチにしてく作業。

この時点でうまくカタチにできないコンセプトはロゴとして成立させるのが厳しいので、そのへんを踏まえてすこしづつ絞っていきます。この時点で、やっとデザイナーらしい作業に取り掛かれます。

Step⑥デザインワーク
手書きの時点でこれは見込みがありそうだと感じたものを実際Macでデザインしていきます。

その際、ひとつの案に集中して作り込みすぎず、その案のなかでも書体のバリエーションや形状のマイナーチェンジを複数つくり、どれがコンセプトを一番体現できてるかを検証します。また並行して、類似のデザインがすでに世の中に出ていないかの最低限のリサーチをおこなっておくとトラブルも軽減されるでしょう。

Step⑦プレゼンテーション
デザインをしたうえで、”らしさ”を体現できている案と持参し、プレゼンします。

1案で勝負をかけるひともいますが、多くは3案~5案くらいで切り口別に提案するケースが多いと思います。どうしてこのカタチになったかを、ロジカルに語れることが求められます。

Step⑧修正・ブラッシュアップ
提案した中からいずれかの案が決定した場合、プレゼン時やその後のフィートバックで出た修正やブラッシュアップをかけていきます。

また、最終的な納品に向け、細かい部分での調整もおこないます。また、それなりの展開範囲のものになるとこのあたりで専門家による商標のチェックをおこなうケースが多いです。

Step⑨ロゴ最終チェック
ロゴ自体の最終的な承認をもらいます。

Step⑩ロゴマニュアルの策定
つくったロゴの使用ルールをまとめたマニュアルを制作。

縦組み横組み等ロゴのバリエーション、カラーの指定。使用媒体・サイズによる配置の制限など、デザインを専門としていない人にも理解できるレギュレーションをあらゆるケースを想定して策定していきます。

ロゴマニュアルの参考例:Google Visual Assets Guidelines


納品

以上を見ると、膨大なインプット、コンセプトメイク、デザインの検証、マニュアルの策定など想像以上に時間と手間がかかることが分かります。

ロゴデザインといっても実際は、純粋なデザイン作業にとどまらず様々な専門スキルが求められることから、その対価として決して言い値ではないことが理解できるのではないでしょうか。

ロゴ制作のための日々の心掛け

最後に、ロゴデザインにおける練度をあげるには、やみくもに数をこなすだけでなく、
日々の心掛けの積み重ねが必要となってきます。では具体的にどのような心掛けをしていくと練度に直結するのか紹介していきたいと思います。

①コンセプトメイクに強くなるためには

世の中にすでにあるロゴ(その他デザインでも)のコンセプトを自分なりに言語化するという習慣をつけてみましょう。正しい由来に関しては書籍等で確認することが可能です。

<参考書籍>

②デザインの引き出しをふやすには

様々な世界観の”本物”を見てみましょう。

例えば、レトロな世界観やアイテムをモチーフとして使いたい場合。「レトロ ロゴ」でいきなりGoogle検索するのではなく、普段から、19xx年のポスターを集めたり、映画を見たり、当時のデザイナーがつくった作品集を入手したりすることが大事です。

また、本物を見る手段としてもうひとつは、世界の広告表現を見ることです。特に海外の広告はコンセプトを表現に落とし込むのが秀逸なものが多いので、おすすめです。

世界の広告が集まるサイト:Ads of the World

③デザイン検証のレベルをあげるには

第一戦で活躍しているデザイナーのプロセスを見るのが分かりやすいです。

最近ではブログや雑誌等でプロセスを紹介する記事も増えているのでチェックしてみましょう

<参考書籍>

デザインノート No.64: 最新デザインの表現と思考のプロセスを追う (SEIBUNDO Mook)
誠文堂新光社 (2015-11-26)
売り上げランキング: 10,888
プロのデザインルール CI&ロゴマーク編―基礎とケーススタディ
ピエ・ブックス
売り上げランキング: 247,015

④つっこみどころを与えて窮しないプレゼンテーションスキルを身につけるには

社内のメンバーを前にランスルー(プレゼンのリハーサル)を必ずおこなうようにしましょう。

一度やっただけで、驚くほど説明が自分の言葉で言えるようになり、想定問答集もつくれます。9割は準備で決まると考えてください。

最後に

ロゴは企業やその商材、サービスとっての顔でもあります。

ロゴデザインに携わることで、今まで気づかなかった魅力や本質的な価値をたくさん知ることができたり、腰を据えてロゴデザインに取り組める力はデザイナーとしての価値をより高めます。

是非、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

佐々木智也
広告制作会社、サーチアンドサーチ・ファロン、面白法人カヤックを経てPARK Inc.を創業。アートディレクターとしてWebキャンペーンからブランディング、プロダクトに至るまで多岐に渡る領域を手がける。iF Design Awards、グッドデザイン賞他。共著に『現場のプロが教えるWebデザイン&レイアウトの最新常識』。@tomosasaki