【厚労省の調査から見る】デザイナーの年収と年収アップの方法

工業製品やポスター、WEBページやアプリのUIなど、私達の身の回りにはさまざまなデザインがあふれています。

こういったデザインを行う職である「デザイナー」は、自分のセンスを活かせるクリエイティブな仕事として人気を集める仕事のひとつでしょう。今回は、このデザイナーの年収や年収アップの方法について紹介します。



デザイナーの平均的な年収を「賃金構造基本統計調査」から推測


厚生労働省が労働者の平均的な賃金などを調べるために行っている「賃金構造基本統計調査」という調査があります。今回紹介する数字は、これを元にしています。

平成29年度の「賃金構造基本統計調査」によると、デザイナー職の決まって支給する現金給与額は平均月額318.3千円、年間の賞与その他給与額が平均577.0千円です。ここから計算すると、平均的な年収は318.3×12+577.0=4396.6千円、つまり約440万円となります。

なお、同調査の結果からは平均的な賃金のほか、平均的な労働時間や年齢、勤続年数も知ることができます。それによると、デザイナー職の平均的な労働時間は月172時間、超過実労働時間は月10時間で、平均年齢は36.5歳、勤続年数は8.9年となっています。

また、この調査ではすべての職種を平均した数値についても出ています。これよると、すべての職種の平均は決まって支給する現金給与額が月304.3千円、平均年齢42.5歳です。すべての平均と比べると、デザイナーは若干高めの金額を得ることができる職業であると考えていいでしょう。

デザイナーの年収は企業の規模でどう変わるのか

「賃金構造基本統計調査」では、その職業全体の平均だけでなく、企業の規模や男女別、世代ごとの数字も確認することができます。そこで、もう少し細かくそれぞれの数字を確認していきましょう。まずは、企業の規模による違いです。

事業規模で見た場合、具体的な数値は以下のとおりです。

・小規模事業者(労働者10~99人)
決まって支給する現金給与額 月額313.2千円
年間賞与その他特別給与額 415.6千円
年収 313.2×12+415.6=4174.0千円(417万4000円)

・中規模事業者(労働者100~999人)
決まって支給する現金給与額 月額295.6千円
年間賞与その他特別給与額 532.1千円
年収 295.6×12+532.1=4079.3千円(407万9300円)

・大規模事業者(労働者1000人以上)
決まって支給する現金給与額 月額373.8千円
年間賞与その他特別給与額 1169.2千円
年収 373.8×12+1169.2=5654.8千円(565万4800円)

小規模・中規模事業者がほぼ近い水準であるのに対し、大企業事業者はその100万円以上高い数字になっています。

デザイナーの年収に男女の違いは?

続いて、男女の違いを見てみましょう。

・男性のデザイナー全体
決まって支給する現金給与額 月額359.2千円
年間賞与その他特別給与額 667.1千円
年収 359.2×12+667.1=4977.5千円(497万7500円)

・女性デザイナー全体
決まって支給する現金給与額 月額275.4千円
年間賞与その他特別給与額 482.7千円
年収 275.4×12+482.7=3787.5千円(378万7500円)

男女の間で100万円以上の差が出ていることがわかります。

デザイナーの年収が最も高いのはどの世代?

世代ごとの数値を見てみると、男女とも金額が最も高くなるのは50~55歳の年齢です。具体的な数字を以下に挙げます。

・50~55歳の男性デザイナー
決まって支給する現金給与額 月額434.5千円
年間賞与その他特別給与額 1600.4千円
年収 434.5×12+1600.4=6814.4千円(681万4400円)

・50~55歳の女性デザイナー
決まって支給する現金給与額 月額392.2千円
年間賞与その他特別給与額 686.6千円
年収 392.2×12+686.6=5393.0千円(539万3000円)

最も高くなる年代とはいえ、男女間で約150万円の差があるのがわかります。前項で述べた男女差による違いがここにも出てきていると考えていいでしょう。

年収高めのデザイナーは「プロダクトデザイナー」


今見てきた数字は、グラフィックデザイナー、WEBデザイナー、プロダクトデザイナー、ファッションデザイナーなどデザインに関わる職種をすべてまとめて出した数字です。

また、調査対象となっているのは10人以上の従業員を抱える事業所だけで、フリーランスや9人以下の小さな事業所に所属するデザイナーは調査の対象に入っていません。

では、もう少し細かな分類でのデザイナーの年収についてはどうでしょうか。

転職エージェントのdodaが転職エージェントに登録した人を対象に調査し発表した「平均年収ランキング2017」にいくつかのデザイナー職の年収が出ています。

  • WEBデザイナー 360万円
  • グラフィックデザイナー/イラストレーター 332万円
  • プロダクトデザイナー(工業デザイナー) 465万円

ちなみに、全体の平均年収は418万円でした。WEBデザイナーやグラフィックデザイナーは全体より低め、プロダクトデザイナーは高めの年収を得られる傾向があるようです。

転職エージェントに所属している人を対象とした調査のため、ひょっとしたら全体の平均より低く出ている傾向があるかもしれません(十分な年収をもらっている人は転職を考える可能性が低いと推測されるからです)。しかし、ひとつの参考になる数字ではあるでしょう。

デザイナーが年収アップのためにしておきたいこと


デザイナーの平均的な年収を見てきましたが、では、どうすれば少しでも高い年収を得ることができるでしょうか。いくつかヒントを紹介します。

スキルアップ

まずは、デザインそのもののスキルを上げることが必要です。

デザインのクオリティを上げる、新しい便利なツールを使いこなせるようにするなどはもちろんですが、年収を上げたいときにもう一つ重要になってくるのが、マーケティングスキルです。

今人気のデザインは何か、どんなものが流行っているのかを知って分析するのはもちろん、それを踏まえた上で自分のデザインの意図をきちんと説明できるようになっておくことは必須です。

この色・イラスト・写真・フォントをなぜ使ったのか、なぜこの位置に置いたのか、それによってどういう効果を狙っているかなどを意識して、クライアントに伝え納得させることができる人は高い評価を受けやすくなります。

また、マネージメントスキルも身につけておきたいスキルのひとつです。

スケジュールを管理できる能力はもちろん、複数のスタッフを束ねることができる、プロジェクト全体のディレクションができるなどのスキルがあると社内のポジションもステップアップしやすくなり、それにともない年収も上がりやすくなります。

転職

スキルアップをしたとしても、勤務先の状況によっては収入アップが難しいというケースもあることでしょう。そういった場合は、転職を視野に入れるのも収入アップの方法のひとつです。

具体的に転職とまで至らなくても、求人サイトなどを見て自分のキャリアならどれくらいの金額・条件で求人があるのかを確認したり、転職エージェントなどに今後のキャリアについて相談したり、ポートフォリオを作ったりするだけでもしてみることをおすすめします。

今の自分に足りないスキルや取り組むべき課題を見つけることができるでしょう。

インハウスデザイナーか制作会社のデザイナーか

デザイナーには、メーカーなどの一般企業で自社製品についてのデザインを行うインハウスデザイナー(社内デザイナー)と、デザイン制作会社でクライアントから依頼を受けてデザインを行うデザイナーがあります。

一般的にはインハウスデザイナーのほうが勤務時間や条件は安定している傾向が、デザイン制作会社のデザイナーは納期に間に合わせるためハードワークが起こりやすい傾向があります。

求人情報をチェックする際には、これを念頭に置いた上で見ていくとより理解しやすくなります。

デザイナーに特化した求人サイト3選

参考までに、デザイナーに特化した求人サイトをご紹介します。

デザインのお仕事

公式サイト:https://jobs.japandesign.ne.jp/

デザイン情報サイト「JDN」やデザインコンテスト・公募・コンペの情報サイト「登竜門」などを運営している株式会社JDNが運営しているデザイナー専門の求人サイトです。デザイン制作会社の求人だけでなく、インハウスデザイナー(社内デザイナー)の求人もあります。

アートとデザインの現場JOB

公式サイト:https://artdesignjobs.bijutsu.press/
美術手帖が運営する、アートとデザイン業界専門の求人サイトです。デザイン制作会社の求人が多くあります。

グラフィックデザイナー中心に未経験者可の求人もあるので、デザイナーとしての経験が浅い人もチェックしてみるといいでしょう。アート関係のコラムもあり、読み物サイトとしても楽しめます。

マスメディアン

公式サイト:https://www.massmedian.co.jp/

「宣伝会議」のグループ会社が運営する転職支援サイトです。

マスコミやクリエイティブに特化した求人情報が多く、デザイン制作会社の求人もインハウスデザイナーの求人も豊富に見つけることができます。

転職支援サービス(無料)もあり、より本気で転職を視野に入れている人も安心して利用することができます。

また、デザイナーの転職については別記事でも詳しく紹介しています。こちらも合わせて参考にしてください。

フリーのデザイナーになれば年収は上がるのか


今回紹介した数字は「10人以上の労働者がいる事業所に所属しているデザイナー」のデータです。9人以下の事業所のデザイナーやフリーランスのデザイナーはこの調査対象外となっているため、また異なった数字となることが考えられます。

フリーランスのデザイナーであれば年収はいくらくらいになるかというと、これは「人による」としか言いようがありません。フリーランスの収入の幅は非常に大きいため、平均的な数字を出するのが難しいという事情もあります。

それを承知の上で、フリーランスのデザイナーになって収入を上げたいと思うのであれば、まずは副業として始めてみるのも方法のひとつです。

フリーランスの場合、ある程度安定して収入を得るためにはデザインスキルだけでなく、クライアントを見つけるための営業スキルやコミュニケーションスキル、納期にきちんと間に合わせるスケジュール調整能力なども必要になってきます。

フリーランスになるためには、こういったスキルが自分にあるか、あるいはこれから努力して身につけていけることができるかなどを見極めることが必要です。

副業であれば、こういった見極めを低リスクで行うことができます。

ちなみに、フリーランスになるとそれまで会社が払っていてくれた社会保障費などもすべて自分が負担しなければいけなくなります。

一般的に、フリーランスになる場合は会社員の1.5倍程度の収入を得られなければ可処分所得はかえって減ってしまうとも言われています。フリーランスを目指す場合は、これも念頭に置いて活動してください。

まとめ

デザイナー職全体の平均的な年収は約440万円です。しかし、企業の規模や男女の差によって100万円以上の差が出ています。また、何のデザインをするかによっても収入には差が生まれます。デザイナーが年収を上げたい場合の基本はデザインだけでなくマネージメントなども含めたスキルアップをすることですが、場合によっては転職という選択肢も視野に入れるといいでしょう。









この記事をかいた人

フリーライター。ビジネス系からスピリチュアル系まで、さまざまなWEBコンテンツを書いています。京都中心に関西方面での取材もたまに。