UI,UXデザインに活かせる!認知科学・行動経済学・脳科学のおすすめ本18選

デザイン

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初めまして。

面白法人カヤックでデザイナーをやっているばっこ(@is178)です。

一昔前は画面の中の要素をデザインをすることがWebデザイナーのお仕事でしたが、今や画面の向こうにいるユーザーの体験さえもデザインの対象となりました。

机の前に座っているPCユーザーだけでなく、利用シーンも様々なスマホユーザーの体験まで考慮する必要がある今、認知科学・行動経済学・脳科学などの知識もあると、デザイナーとしての強みになるのではないでしょうか。

そこで、各分野の個人的なおすすめ本を18冊紹介したいと思います。

認知科学

認知科学の対象領域を狭めないために明確な定義はないのですが、特徴づけをするならば「知的システムの構造、機能、発生における情報の流れを科学的に探る学問」です。

お馴染みのアフォーダンスやシグニファイアもこの分野ですね。

1.教養としての認知科学

教養としての認知科学
教養としての認知科学
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鈴木 宏昭
東京大学出版会
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青山大学院、東京大学などで長年認知科学についての講義を担当してきた著者が、講義の内容をまとめあげた一冊です。

導入部分で面白い実験が一つ紹介されています。

同じメーカーの同じ女性用ストッキングを4つ被験者の前に並べて、それらをあたかも別製品のように紹介すると、最初の2つのどちらかを選ぶのは全体の30%未満で、ほとんどの人は後半2つから選ぶ。(商品は毎回置き換えている)つまり最初の方のものは選ばれにくい。

ちなみに、選んだ理由を尋ねると、順番を理由に挙げる人は皆無で、「3番めは手触りがなめらかで…」「4番目は軽い気がして…」と選んだ理由がきちんと返ってきます。

2.UIデザインの心理学

UIデザインの心理学―わかりやすさ・使いやすさの法則
Jeff Johnson
インプレス
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著者はユーザービリティコンサル会社の社長兼コンサルタント。スタンフォード大学とミルズカレッジで講義も担当しています。

著者曰く、ノーマンやニールセン、MicroSoftやAppleなど、数多くの団体や会社がUIデザイン原則を提唱していますが、どのUI原則も人の認知の仕組みに基いているため、本質の部分はそう違いがありません。

また、原則化する上では、それが幅広く適用できるように抽象化がされています。そのため、それらを利用するには「解釈」をする知識が必要になります。

そこで、その基盤となっている心理学の原則、言うなればUIデザイン原則の原則(認知や視覚、記憶や学習、それに意思決定など)を体系的にまとめた本となっています。

3.新版アフォーダンス

新版 アフォーダンス (岩波科学ライブラリー)
佐々木 正人
岩波書店
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説明は不要かもしれませんね。アメリカの知覚心理学者ジェームズ・ギブソンが提唱する「アフォーダンス理論」の本です。

アフォーダンスは人工知能のフレーム問題の解決の糸口として注目を集めました。

もともとは、「情報というものは環境に埋め込まれている」といった概念でしたが、ドナルド・ノーマンが「物がもつ人が知覚可能な手がかり」といった概念で用い、こちらの方が広く普及しました。

今はその誤用は訂正され、「シグニファイア」と名前を変えています。

4.認知科学への招待

認知科学への招待
認知科学への招待
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サイゾー (2014-09-23)
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著者は米国の大学院で認知科学を研究をしていた日本人。

アフォーダンスの本を紹介した直後に書くのも何なのですが、アフォーダンスの先を行く「超情報場仮説」という新しい物の見方が面白いです。

ざっくりと説明をすると、アフォーダンスはあくまで3次元の空間内での話なのに対して、より高次な「場」である「超情報場」の情報を読み取ることによって、色々なことを認識できているのではないか、と。

5.サブリミナル・マインド

サブリミナル・マインド―潜在的人間観のゆくえ (中公新書)
下條 信輔
中央公論社
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最初の本の「女性用ストッキング」の話でもありましたが、「人は自分で考えているほど、自分の心の動きを把握できていない」ということを様々な実験によって証明している本です。

認知的不協和理論という面白い話があります。

被験者に単調で退屈な話を1時間行ってもらい、次の被験者に「作業は楽しかった」と伝えてもらう実験を行います。その後、本意に反する発言の謝礼として、1ドル渡す群と20ドル渡す群に別れるのですが、最後に作業の本当の面白さを評価してもらうのです。

そうすると、1ドルを渡された群のほうが「作業は面白かった」と回答する傾向にあるのです。

つまらない作業の報酬として20ドルを受け取った群は、作業と報酬で釣り合いがとれているのですが、1ドルしか受け取った群は釣り合いが取れていません。

そうすると、作業がつまらなかったことと1ドルしか受け取れなかった事実は変えようがないので、認知の方を変えて無理やり帳尻を合わせてしまうのです。

その他にも面白い実験が多数紹介されています。ちなみに、同じ著者の「サブリミナル・インパクト」「意識とはなんだろうか」もオススメです。

6.脳科学より心理学

脳科学より心理学 (ディスカヴァー携書)
和田 秀樹
ディスカヴァー・トゥエンティワン (2011-04-16)
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「脳科学」というと何だか科学的根拠に基づいた正しい学問に思えて、一方「心理学」というと、テレビでやっているような胡散臭い占いをイメージしがちですが、それに異論を唱える内容の本です。

「脳科学」は日々計測方法が進化していて、前まで主流だった仮説がひっくり返ることも往々にあり、未成熟な学問なのに対して、心理学は長い歴史の中で「仮説→結果を分析・検証→再び仮説…」というサイクルを回してきた立派な学問である、と。

一方の研究内容だけでなく両方扱っている本が珍しく、それほど厚さもないので読みやすくてオススメです。

7.インターフェイスデザインの心理学

インタフェースデザインの心理学 ―ウェブやアプリに新たな視点をもたらす100の指針
Susan Weinschenk
オライリージャパン
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エンジニアの皆さんにはお馴染みのオライリー本です。(表紙に動物はいませんが)

最初の方に紹介した「教養としての認知科学」や「UIデザインの心理学」と同じく、人の認知・記憶・思考・感情などを体系的にまとめた一冊です。

8.説得とヤル気の科学

説得とヤル気の科学 ―最新心理学研究が解き明かす「その気にさせる」メカニズム
Susan Weinschenk
オライリージャパン
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上記「インターフェイスデザインの心理学」と同じ著者の本です。

10年以上前から心理学を研究し、子育てにも利用してきたというママさん研究者による「頼みごとをするコツ、やる気にさせるコツ、人を動かすコツ」の解説で、インターフェイスからは少し離れてしまいますが、読み物としてはこちらの方が面白いです。

9.人を動かすテクノロジ

実験心理学が教える人を動かすテクノロジ
B.J.フォッグ 高良 理 安藤 知華
日経BP社
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「人の態度や姿勢、行動を変えることを目的として設計された対話型のコンピュータ製品のデザイン、研究、分析」を扱う「カプトロジ」という概念が興味深いです。

少し古い本ですが、この本で紹介されている内容は多くの書籍で引用されています。

行動経済学

経済学で前提とされているような、完全無欠で合理性・論理性に手足が生えたような人間を対象にするのではなく、実際の人間による不合理な選択・行動を取り扱う分野です。

10.ファスト&スロー(上下巻)

ファスト&スロー (下)
早川書房 (2012-12-28)
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心理学者にしてノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンの、判断と意思決定に関する心理学的知見をまとめた本です。

行動経済学は彼のプロスペクト理論によって注目を集めるようになりました。
僕の好きな話の一つに「人は限られた手元の情報に基いて結論に飛びつく傾向がある」というものがあり、以下の様に解説がされています。

ストーリーの出来で重要なのは情報の整合性であって、完全性ではない。むしろ手元に少ししか情報がないときのほうが、うまいことすべての情報を筋書き通りにはめ込むことができる。

何かの仮説に自信をもった場面があるとして、それは手元の限られた情報の中で整合性がとれたというだけであって、その「自信」は実際に正しいかどうかとは全くの無関係だ、ということです。

11.なぜ直感のほうがうまくいくのか

なぜ直感のほうが上手くいくのか? - 「無意識の知性」が決めている
ゲルト ギーゲレンツァー
インターシフト
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「直感」というと非科学的な印象がありますが、それを「無意識の知性」として研究しています。
直感はどこから沸いてくるのか、どうしてわかるのか?直感が有効に働く場面とそうでない場面の違いは何か?等のテーマを扱った一冊です。

12.ずる 嘘とごまかしの行動経済学

ずる――噓とごまかしの行動経済学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
ダン・アリエリー
早川書房
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新聞購読に関する面白い実験がひとつあります。
「ウェブ版59ドル、印刷版125ドル、ウェブ&印刷版125ドル」で販売されている新聞があります。
印刷版の購読希望者は0なのは当然ですが、ウェブ版59ドルよりもウェブ&印刷版125ドルの方が購入希望者が多いという結果になりました。

ここで、この一見無意味な印刷版125ドルがなくなって二択にします。

そうすると、ウェブ版59ドルとウェブ&印刷版125ドルの二択では、ウェブ版59ドルがのウェブ&印刷版125ドルの2倍以上人気となるのです。

同じダン・アリエリーの著作「予想どおりに不合理」や「不合理だからすべてがうまくいく」も面白い行動経済学の実験が多数載っていてオススメです。

13.選択の科学

選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義 (文春文庫)
シーナ アイエンガー
文藝春秋 (2014-07-10)
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「高級食材店の試食コーナーに、24種類の色とりどりのジャムを並べたときと、6種類のジャムだけを並べたときとでは、どちらがよく売れるだろう?」という有名なジャム実験を行ったシーナ・アイエイガーの本です。(ちなみに、24種類のときの方が試食人数は多かったものの、6種類のジャムの方が売れました)

シーク教という原理主義の宗教の家に生まれた著者が、アメリカに留学することで、今までありとあらゆることが宗教によって定められてた環境から一転、自分での「選択」を迫られるようになります。

「選択」が生むもの、「選択」を左右するもの、「選択」の代償など、選択にまつわるテーマをまとめた一冊です。

脳科学

「脳科学」と銘打っておいて何なのですが、脳科学は俗称であり正式には神経科学と呼ばれる分野になります。テレビなどで「脳科学」というワードが広く使われたため、そちらが一般的になってしまいました。
認知科学や行動経済学は行動に現れる部分にフォーカスした学問ですが、脳科学は脳そのものの構造、内部のメカニズムに主眼を置いた学問です。

14.マーケターの知らない「95%」

マーケターの知らない「95%」  消費者の「買いたい! 」を作り出す実践脳科学
A・K・プラディープ A. K. Pradeep
CCCメディアハウス
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タイトルの95%というのは、人間が潜在認知で処理している情報量のことです。

「人間の脳は様々な感覚器官から入力された情報の最大95%を潜在意識のレベルで処理しており、人は自分がどうして特定の決断や行動をするに至ったのか把握できていないことが多い」

脳が10万年以上前から構造が変わっていないことに触れて、脳の仕組みからアプローチする「ニューロマーケティング」を提唱しています。

15.脳には妙なクセがある

脳には妙なクセがある (扶桑社新書)
池谷 裕二
扶桑社
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脳科学の本として紹介しますが、認知科学や行動経済学の分野のお話も混じっています。

・シャーデンフロイデという他人の不幸を喜ぶ感情がある。脳回路に組み込まれた感情であり、根源的な感情として脳に備わっている

・実際の値段に関係なく、教えられた価格が高ければ高いワインほど、内側眼窩前頭皮質(知的快感を生み出す脳部位)が強く活動する

など、トリビア的な面白さのある脳のお話がまとまっています。

色々な本で紹介されていますが、個人的には「最後通牒(つうちょう)ゲーム」のお話がお気に入りです。

あなたに一万円の収入があったとします。その利益を相方と二人で分け合うのですが、いくらに分割するかという提案権はあなたにあります。一方、相手はその案を受け入れるか拒否するかの権利を持っています。

あなたは分割比80%と20%を提案することもできるのですが、その際、相手が拒否すれば二人とも受け取れる金額は0になります。

合理的に考えれば、相手は20%でも受け取れれば0円よりはマシですから拒否する理由はありません。しかし、実際は分割比20%だったときの拒否率は50%にも昇ります。

自分の利益を犠牲にしてまで相手に社会的制裁を与えるのが、人間の不合理さの面白い所ですね。

16.欲望解剖

欲望解剖 (幻冬舎文庫)
欲望解剖 (幻冬舎文庫)
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茂木 健一郎 田中 洋
幻冬舎
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脳科学者として茂木健一郎さん、マーケターとして田中洋さん、2人がそれぞれ「欲望」について脳科学とマーケティング両方の観点からアプローチした本です。

脳科学のパート目当てで買いましたが、マーケティングパートの方も歴史に基づいた解説や哲学者からの引用などもあり興味深かったです。

とても薄いのですぐに読めてオススメです。

17.心の脳科学

心の脳科学―「わたし」は脳から生まれる (中公新書)
坂井 克之
中央公論新社
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「わたし」とは何か。様々な実験を通してどのように自己が形成されているのかを探る一冊です。

脳科学の実験が何章にも渡って詳細に解説されているので、脳科学の学術的なお話をしっかりと勉強したい人にオススメです。

18.暴走する脳科学

暴走する脳科学 (光文社新書)
河野哲也
光文社
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帯に「脳トレは本当に効くのか?」とありますが、内容とはあまり関係がありません。

5章の自由意志の話が面白いです。「人が何か物事をやろうと決意する550ミリ秒前には脳の運動領域が活動をしている」そうで、人は本当に自由意志で行動をしているのだろうか?というテーマが上がっています。

もしも自由意志が存在しないのであれば、あらゆる行動の結果の報酬や刑罰など、社会制度の根幹からの見直しが必要になるのではないか?と。

おわりに

以上、認知科学・行動経済学・脳科学のおすすめ本18選でした。

必ずしも画面のデザインに直接関係のある本ばかりではありませんが、デザインも画面の向こうにいる人間を相手にしていることを思えば、「人を知る」という事もデザインを考える上で意味のあることではないでしょうか。

この記事を書いた人

           
                   
           
            

                    

          
  面白法人カヤックのデザイナーです。普段はhttp://takashi178.meでブログを書いています。           
          
           
           

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