サービス作りに関わるなら追っておきたい!IT業界のトップデザイナー5人

この記事は、IT系企業に勤めている「サービス作りに関わる人」に向けて、必ず追っておくべき第一線で活躍されている日本人デザイナーをまとめたものです。

デザイナーだけでなく、全職種の方に知ってもらいたいので、デザインのイロハというよりも「ユーザー、事業やサービス、組織に対してどのようにデザインで価値を提供するのか」を常に考え、実践・発信している方々を中心にピックアップさせていただきます。

紹介の前に

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前提として、「今のデザインがどういう文脈の上にいるのか」ということについて、少し解説を挟みます。
この辺りに明るい方は読み飛ばしてください。

デザインと一口に言ってもその領域は多岐にわたっており、UIデザイン・UXデザイン・グラフィックデザイン・プロダクトデザイン・サービスデザイン・インタラクションデザインなど、IT系でよく使われるものだけでも色々なデザインが存在し、デザイナーに求められる範囲が非常に広くなってきています。

しかし同時に、製品やサービス、会社の競争力の一つとしてデザインにスポットライトが当たることが増えており、それに伴ってデザインが「見た目」だけの話ではなく、より本来の語源である「設計」に近いところの意味合いで語られることが多くなりました。

2009年の動画になりますが、デザインコンサルタント会社であるIDEOの Time Brown 氏がTEDの講演中(ティム・ブラウン:デザイナーはもっと大きく考えるべきだ)で発した

「デザインはデザイナーだけに任せるには重要過ぎる」

というメッセージにあるように、現在、今回紹介するような一部のデザイナー達が徐々に「デザイン」を組織やチーム全体に広く理解してもらおうと活動を行っています。

その活動の根底には、程度の差はあれ、”デザインが「どう課題を解決するのか」という思考そのもののことでもあるため、価値のあるサービス作りをしていく上で全メンバーにとって欠かせない要素だと信じている。”という思いがあるように感じます。

そのような活動を続ける一流のデザイナーが実際にビジュアルを作る前に行っているのは、徹底したユーザーへの理解であり、その理解をチームに浸透させることであり、それはサービス作りをする以上、非デザイナーにとっても非常に重要です。

そういった背景から、サービスや製品・ビジネスを成功させる上で、問題解決としてのデザインや、それを行うためのアプローチやチーム作りが、今のデザインにおける大きな話題となってきました。

というわけで少し前提が長くなりましたが、これから紹介するのは「デザインとは何か?その価値とは何か?」に常に向き合い、「これからのデザインがどうあるべきなのか、どう扱うべきなのか」を考えて発信している方々です。

そして、その発信がデザイナーだけの内輪で終わらず、他業種の方にもわかりやすく、興味が持てるような内容になっているスタープレイヤー達です。

それではどうぞ。

深津 貴之氏

紹介

株式会社 THE GUILD( http://theguild.jp )

代表取締役 / Interactive Designer

大学で都市情報デザインを学んだ後、英国にて2年間プロダクトデザインを学ぶ。2005年に帰国し、thaに入社。2013年、THE GUILDを設立。Flash/Interactive関連を扱うブログ「fladdict.net」を運営。現在は、iPhoneアプリを中心にUIデザインやInteractiveデザイン制作に取り組む。
出典 : http://theguild.jp/members

Twitter : https://twitter.com/fladdict
Facebook : https://www.facebook.com/takayuki.fukatsu

言わずとしれたUI/UXのトップランナー。多摩美術大学の非常勤講師を務められており、日経新聞電子版のリニューアルも監修されています。

またブログをはじめ、Web担当者forumのUXサムライでもわかりやすく面白い発信をされており、TwitterではIT領域に限らず話題になっていることや日常での1コマを設計の側面から言及されているので、必ずチェックしておきたい人物です。

ためになる記事

よくわかる、なぜ「五輪とリエージュのロゴは似てない」と考えるデザイナーが多いのか?
2015年、もっとも話題になったデザインに関する記事でした。デザインに馴染みのない方にもわかるように非常に丁寧に書かれた記事で、「専門外の人に専門分野のことを説明する」という意味でも非常に優れた記事です。

ペーパープロトタイピング入門 – 第0回
Goodpatchさんの prot やAdobeの Xd など、今でこそプロトタイピングと呼ばれる手法はかなり一般的になってきましたが、デザインを作りこむ前・実装をする前に紙でプロトタイピングをすることの重要性やその手法を細かく書いてくださっています。

スマホUI考(番外編)なぜ機能追加をし続けるとアプリが破綻するのか?
サービスを作る上で、なぜ「引き算」が重要なのかということをもっともわかりやすくまとめてくださった記事です。

また、別の方が書いた記事になりますが、上記で内容が掴めたら、少し難易度は上がりますがこちらも合わせて読んでおいて損はありません。
あるとよい機能はない方がよい

伊野 亘輝氏

紹介

ROLLCAKE株式会社 ( http://rollcake.co )

取締役 / UI / UX デザイナー

クックパッドのアプリフルリニューアルを成功させた伊野亘輝さんは、同僚3人でロールケーキ社を創業。2014年2月には、スマートフォンで撮影した写真を翌月のカレンダー付き手紙にして郵送で届けることのできる iPhoneアプリ「レター」をローンチ。2週間で発注総数1万枚を突破するなど、シンプルなデザインと共感を呼ぶコンセプトで順調な滑り出しを見せている。
出典 : http://careerhack.en-japan.com/report/detail/318

Twitter : https://twitter.com/memocamera?lang=ja
Facebook : https://www.facebook.com/noriteru.ino

クックパッドのアプリリニューアルを完遂した後、同社の100%子会社としてROLLCAKE株式会社を設立し、丁寧なユーザーリサーチと見事な捨てていく設計で体験を尖がらせ、一作目のレターをリリースし、Appleの「Best of 2014」に選ばれるほどヒットさせました。

その後ROLLCAKE社はクックパッドから独立し、2016年6月9日にALBUSをリリース。

圧倒的な世界観の作り込みで、同年6月14日にはApp Storeにてオススメ新着App入りを果たしました。

ためになる記事

ユーザー体験設計を軸にすすめるサービスデザイン

レターの初回のテストリリースで全く購入してもらえなかった(購入率0%)ところから、2ヶ月4週の期間で40%の購入率までサービスを改善していった話です。リーンスタートアップを実践しながら数字を改善していったリアルな事例を綺麗にまとめてくださっています。

ビジネスもデザインする

サービスとビジネスをどうバランス良く成り立たせながら、使い続けてもらえるサービスを設計していくかが、「体験デザイン」という軸で綺麗に整理されています。

【Podpatch#11】『レター』で有名なROLLCAKE株式会社UI / UX デザイナー伊野亘輝さん登場!(後編)
後編からになりますが、こちらは記事ではなく、GoodPatchさんのPodcastです。17:30くらいから伊野さんの「UIは環境を作る」という話から始まりますが、伊野さんの設計したアプリに一貫している「綺麗に捨てる」ことや「体験にフォーカス」していくようなデザイン哲学を感じることができます。
ちなみに前半はGoodpatchさんがメインのお話ですが、こちらも面白いので時間がある方は是非聞いてただきたいです。

藤井 幹大氏

紹介

株式会社ザッパラス ( http://www.zappallas.com )
デザイナー

グッドパッチで藤井幹大氏はチーフUXデザイナーを務めている人物。藤井氏は今回執行役員に就任し、グッドパッチ内で特に「組織のデザイン」に取り組む。彼は前職では会社の立ち上げ時期から関わり、自身がデザイナーでありつつ、デザイナーのマネジメント経験があったため、組織づくりに関する知見を持っていたという。
出典 : http://thebridge.jp/2015/04/company-executive-designer-at-goodpatch

Twitter : https://twitter.com/mikihirocks?lang=ja
Facebook : https://www.facebook.com/mikihiro.fujii?fref=ts

元Goodpatch執行役員で、2016年6月1日に発売されたUXデザインの教科書の出版記念セミナーにて講演とパネルディスカッションのコーディネーターを担当されました。

mediumでデザイン原理に対する多数のわかりやすい投稿をしてくださっています。

ためになる記事

デザイン組織づくりでの思い込みによる2つの課題と解決への提案
導入の部分でも少し触れましたが、デザインは誰のものか?というところに言及しつつ、組織としてデザインをしていくにはどうすればいいか?について書かれた記事です。

僕が行動前の体験にフォーカスする理由
非デザイナーにもわかりやすくするため、専門用語を使わずにユーザーがサービスを使う前の体験にフォーカスすることの重要性をまとめてくださっています。UXに明るくなければ、「行動前の体験」に対して疑問符が浮かぶかもしれませんが、その辺りも解説してくださっているので、ぜひ読んでみてください。

ちなみに、デザイナー用に専門用語を使っている方がこちらになります。
僕が予期的uxにフォーカスする理由

UXデザインを利用した行動設計
実際に「UXデザインやその概念をどのように事業に活かしていくのか」ということに関して丁寧に解説してくださっています。伊野さんのスライドにも出てきましたが、会社への事業成果とユーザーへの価値提供をしっかりと両立するためにやるべきことが何なのか、デザイナーも非デザイナーも全員で考えていきたいですね。

上谷 真之氏

紹介

元nanapi CCO / 現フリーランス デザイナー

株式会社ソウゾウでデザインをしています。制作会社やスタートアップ企業などを経て、Supership株式会社(旧株式会社nanapi)へ入社し、CCOなどデザインマネジメントを実行する役割を歴任。fillerという名前でフリーランスとしても活動中。デザインを軸にした組織づくり、キャリア形成、プロダクトマネジメントあたりの話が大好物。趣味は美味いもの(主に焼鳥)を食べること。
出典 : https://www.wantedly.com/users/2868366

Twitter : https://twitter.com/utmy5?lang=ja
Facebook : https://www.facebook.com/uetanimasayuki

元nanapiのCCOで、Supership社ではデザイン統括室の室長を勤められていました。
組織軸での話題が多く、ファシリテートというキーワードが多く出てきます。
実際の現場にどうやって「デザイン」を浸透させていったかという点で、非常に参考になります。

ためになる記事

ポエムで会社を変える!?nanapiのデザインカルチャーを作った、Qiita:Team活用法
上谷さんがnanapi時代にデザイン文化を醸成していく話が細かく書かれています。0からの組織文化作りについて参考になる話が多いです。

デザインのためのデザイン

開発チームで一丸となって、質の高いアウトプットを再現性高く生み出す仕組みづくりについてのnanapiの勉強会でのプレゼンのスライドです。

長谷川 恭久氏

紹介

Webデザイナー/コンサルタント

Webサイトやアプリの設計や運用のサポートに携わるデザイナー / コンサルタント。日本各地でデザインに関する様々なトピックを扱った講演やワークショップを行っている。
著書に『Experience Points』『Web Designer 2.0』など。
出典 : http://www.yasuhisa.com/could/

Twitter : https://twitter.com/yhassy
Facebook : https://www.facebook.com/yhassy?fref=ts

Webデザイナーとして2004年には本を執筆しており、その深い経験からWebやデザイン、コンテンツといった領域で正しく批評を行える方です。
ブログもかなりの頻度で更新されており、後に紹介するAutomagic Podcastでは1週間〜2週間に1放送の更新頻度でゲストを招いてお話しされています。

ためになる記事

チーム内コミュニケーション設計に使える視覚化あれこれ
チームで円滑にコミュニケーションをとりつつ、ブレを少なくプロダクトを開発していくために必要な視覚化を紹介してくださっています。
これらはデザイナーだけの仕事ではなく、チーム全体で進めていけるのが望ましい形です。

ゲームから学ぶデザイン思考術

ほとんどの人がプレイしたことのあるであろう「ゲーム」から、使いやすい/続けてもらえる設計のヒントを得ようという、schooの授業で使われたスライドになります。
Webやアプリよりも長い間ノウハウが培われてきている業界なので、参考になることも多いでしょう。

Automagic Podcast
長谷川さんが今活躍していらっしゃる様々な企業やフリーランスの方を呼んで、デザインのことを話しているPodcastになります。
少し1本あたりの時間が長く、専門的な内容も多いので、デザイナーの方にオススメです。

終わりに

いかがでしたか?
もちろん今回独断でご紹介させていただいた5人のデザイナーの方々以外にも優れたデザイナーの方々はたくさんいらっしゃいます。

まずは自分にとってわかり易い・受け入れ易いという方を重点的に追って定期的にインプットを行い、
社会に対して価値のあるサービスやプロダクトを作っていきましょう。